2015年1月に開設したトバログも、この記事で600本目。今回はちょっと趣向を変えて珍しくオピニオン的な内容の記事を書いておきたい。これからブログを始めようと思う人には是非読んで欲しいと思う。
最近、 Wedge や東洋経済などが「副業」の特集を組んでおり「副業」や「パラレルキャリア」が脚光を浴びている。そういったのなかで必ず注目されるのは、オンラインでどこにいても収益を得られる「副業としてのブログ」。僕も正社員として働くかたわらブログを運営しているので、微小ながらその統計データにも反映されていることだろう。いくらかはリアリティのある「副業としてのブログ」について書けるのではないかと思い、今回筆を執ってみた。
「副業としてのブログ」のリアル。月収3万円以上稼ぐブロガーは25人に1人だけ
僕の知る限り、趣味としてではなく収益や目的でブログで収益を上げている人はほとんどいない(アフィリエイターは別)。もしかしたら少なからずそういった人もいるのかもしれないが、僕の経験上、ほとんどの人が実際に収益を上げる前に挫折することがほとんどだ。
なぜそうなってしまうのかをこの項目で紹介していきたい。
まずブログに限らず色々な事業をひっくるめた「副業人口」を見てみよう。クラウドソーシングサービスを展開するランサーズが今年行った「フリーランス実態調査2016」の結果によると、現在国内で副業人口は416万人。総務省の調査によると、2016年8月現在の就業者数は約6,465万人(出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計) 平成28年(2016年)8月分」)なので、約16人に1人の割合で副業に携わる就業者が存在することが分かる。
では副業で収入を得ている人はどのくらいいるのだろうか。「フリーランス実態調査2016」の副業人口のうち「副業で得る “年収” が10万円以下」と回答した人が60%と半数以上を占めている。10万〜15万円を稼ぐ人は21%いるが、これでは大学生のバイトの月収となんら変わらない程度しか収益を上げられていない。収入という収入を得ているのは、全体の約19%程度。副業に携わる5人に1人が年収50万円くらいは稼げているということになるが、副業という割にはあまり多くない印象だ。
これらはブログに限らない副業のデータなので、「副業ブロガー」という括りではまた数値が変わってくる。実際に収益を上げているブロガーはどのくらいいるのだろうか。
ブロガーの収益の軸は「アフィリエイト」と呼ばれる一種の広告収入なので、日本アフィリエイト協会がアフィリエイトに携わる500名を調査した「アフィリエイト市場調査2015」で、アフィリエイト収入を得ている人(ブロガーやアフィリエイターなど)の割合を見てみたい。
アフィリエイトで月収3万円以上の収益を上げている人は全体でたったの4%。70%以上が月に1,000円も収益を上げておらず、1回の飲み代も稼げていない。
調査対象者の分布は不明だが、月収3万円以上の収益を上げていると答えた人の中には「専業」としてブログやアフィリエイトサイトを運営している人も多いと思うので「副業ベース」となる数はもっと減るはずだ。なのでよく「ブログで月3万円くらいお小遣い入ると良いな〜」と思って始める人の100人に4人程度しか目標値に達成していないということになる。
これらのことから、ブログをお金のための副業スキームという目線で取り掛かろうとすると、かなり敷居が高いということが分かってもらえると思う。
上で紹介したデータを用いた話は、あくまでデータ上の空論。データさえネットから拾ってくれば、それっぽい内容がブログ未経験者でも書けるオピニオンだ。ここから先は僕の肌感覚で話を進めるので、実際のデータとはちょっと違うかもしれないが、僕の実際の経験にもとづいて書いていこうと思う。ソースとして不十分かもしれないが、多くのブロガーには共感してもらえる内容だと思う。
収益が上がる前に辞めてしまう理由とは。僕が思う「副業ブロガー」のリアル
ブログを開設するのは簡単で、スマホや PC があれば基本的に無料でブログを運営することができる。SNS の延長線で、副業のプラットフォームが完成するというのは、ほかの副業スキームにはない手軽さだ。
匿名で運営すれば会社にバレる心配も低いし、初期費用ゼロでも始められる。それゆえに軽い気持ちで「まぁ月数万円稼いで小遣いの足しにでもしてみよう」と軽い気持ちでブログを始める人も少なくない。
上記したが、その多くの人たちが月数万円はおろかアフィリエイトの最低引き出し額の数千円にも満たないところで諦めてしまうケースが多い。よく耳にする理由を箇条書きにしてみると
- 収益が目的となるとコンテンツの内容が薄くあまり読まれない
- 基本的に収益が入るようになるには半年~一年くらいは根気よくブログを書き続ける必要がある
- 誰にも読まれないので記事を書いているのが馬鹿らしく感じる
- 誰も強制してくれず全てのことを主体的に行う必要がある
といったところだ。
ブログへの参入は容易だが継続が難しい
ブログへの参入は容易なのだが、一般的に毎日更新を続けても少なくとも半年間は収益が見込めない。最初のうちは広告を貼ってもほとんど読まれず、モチベーションを維持するのは大変だ。
上の画像は「トバログ」を2015年1月に開設してから現在までの PV(開かれた回数)の推移。
僕の場合、最初の3ヶ月間は収入が全くなく、4ヶ月目で約5万PV前後になりやっと1万円程度の収入が入るようになった。この時点で書いた記事の本数は150本くらい。1記事1時間はかかるとして、記事作成に約150時間を費やして1万円を手にしたという感じ。※アフィリエイトの場合、収益が発生してから実際に振り込まれるまでに2ヶ月くらいのラグが発生するので、3ヶ月目に発生した額は約2万円程度。
トバログを開設してから約半年間で10万PVを超え、やっと副業らしい収入が入るように。この時点で記事数は約200本。1記事あたり1000~3000字くらいが多かったので、かなりの時間を費やしている。
最初はあまり読まれずいつ収益が見込めるか分からない
ブログは経験がなければ、だいたいどのくらい書いていつ頃には収益が見込めるなどの目処がつかず、ゴールどころか給水ポイントさえ見えないような状態で走り続けなければいけないマラソンのようだと思う。途中には「今日くらい書かなくてもいいか」「明日早起きして書こう」といった誘惑があり、それに負けると気づけば更に給水ポイントが遠ざかる。
ブログは基本的に、淡々と「検索される有益な記事」や「実体験に伴う意味のある記事」を書き続ける必要があり、収益を得るにはそこそこの更新頻度と内容が伴っていなければ読まれない。続けていれば確実に収入が入るようになるかはわからない辛さもある。お笑い芸人やアーティストを目指して活動している下積みと同じような状況だ。
しかも会社員は残業や飲み会などの付き合いもあるし、家族がいれば休日は家族サービスで気づけばヘトヘトという人も多いはず。そんな中で毎日1~2時間程度決まった時間を確保してブログを書くのは案外難しい。
なお、上記の話は「収益を得る」という目標という目線でのこと。ブログが好きでやっていば別にゴールがどうとか収益がどうとかは関係なかったりする(そういう人は「副業としてのブログ」ではなく「趣味としてのブログ」なので性質が異なる)。
上記ではブログの厳しさを書いてみたが、一旦伸びてくると収益が上がりやすくなってくるのも特徴の一つで、徐々に時給あたりの単価は上がってくる。副業としてブログを選ぶメリットは事項で説明したい。
トバログが感じる「副業としてのブログ」のメリット
前項ではネガティブなことをつらつらと書いてみたが、今度は逆に副業としてのブログのメリットを紹介していきたい。上記のハードルを乗り越えられれば、ブログはかなり魅力的な副業スキームとなる。
- 自分の持つ情報を収益化するので製品などの在庫を抱えるリスクがない
- 初期費用が無料〜高くても1万円(ドメインやサーバー代)くらい
- 誰にも迷惑をかけずに一人で淡々とできる
- 交流会への参加で本業の枠を超えていろいろな人と繋がれる
- しっかり続けていれば基本的にアクセスが伸び、広告収入は右肩上がり
- 趣味としてもかなり奥深く楽しい
- キャリア形成にも一役買ってくれる
といったところだろうか(現役ブロガーなのでメリットにバイアスがかっているかも)。
金銭的なリスクがほぼない
まず、ビジネスを始める際にはなにかしらのコストがかかってしまう(副業だとストックしておく在庫や材料費、工具費など)。ブログは最悪スマートフォンさえあれば無料でもスタートできる手軽さがなにより魅力だ。後々のことを考えるならドメインやサーバーを契約して自分のブログを構築する方が良いが、基本的にスタートラインに立つための初期費用は1万円以下で済む。
また、運営を継続するのにもお金はそこまで要らず、無料のツールだけでもかなりのところまでいけるはず。実際このブログも年間でかかる経費はドメインとサーバー代の1万円程度と通信量、あとはブログでレビューしたいと思ったガジェットの購入費(任意)くらいだ。
もともと「トバログ」は、好きなガジェットを買うための紹介の場という意味と、少しでも収益が入ってガジェットとかの足しになれば良いな程度で始めたブログ。ブログを始める前に比べて、より多くのガジェットを購入できるようになったのでこれ以上の幸せはない。
ロールプレイングゲームのように段々と伸びてくる。
ブログの良い点として、ロールプレイングゲームのように徐々に伸びてくるのもモチベーションの一つ。これは上で紹介した画像だが、最初は全く読まれず、収益も得られないが、淡々と続けていれば倍々ゲーム的に伸びてくる。
僕の場合は新しいガジェットを買ったらレビュー記事を書きたくてウズウズするので、それが最大のモチベーションなのだが、こういった推移を毎日確認することもモチベーションになる。ゲームで経験値などを上げていく感覚だ。
なお収益に関しては公開しないが、1年前に書いた『新卒から会社員ブロガーを1年間やってみた率直な感想。デメリットも多いけどメリットもあるよ』という記事では新卒の初任給程度と紹介。ただ毎月色々なガジェット類を購入しているので、お金は余らない(余らないように色々買ってレビューして還元してます)。
副業ブログで収益を上げている会社員ブロガーの例
正社員として働きながら副業をしているブロガーとして、同じくらいの年齢層だと「今日はヒトデ祭りだぞ!」のヒトデ氏が有名。収入も公開しており、月収はブログだけで100万円を超える。
言うか悩んだけど、やっぱ自慢したいのでします
2016年9月 108万PV 収益110万円でした— ☆←ヒトデ@はてなブログ (@hitodeblog) 2016年10月1日
また、最近「週三休み」や「副業OKな企業」など人事関連で話題となっているヤフーで働くブロガー「monograph」 のPITE 氏も、ヤフー新卒の給料の 1.5倍〜2倍の収入を得ているという。
ブログを始めたばかりの頃は時給あたりの収入は0円とか1円くらいなのだが、段々と規模が拡大してくれば時給あたりの収益は1万円を超え、やがては本業の収入を超える人も少なくない(グラフにするとシンギュラリティ的な感じなので「収入的特異点」とでも言っておきたい)。
一旦収益が安定して発生すれば、例えしばらく風邪でブログを更新できなくなっても、しばらくはある程度の収入が入るのも魅力だ。当たり前だが、このレベルまで達することができるのは数多のブロガーのなかでもほんの数人程度。だが FX のように金銭を失うリスクもないし、宝くじのように運だけではないのが個人的には挑戦する価値はあると思う。
チームを組まずに1人で淡々とできる(だけど横のとの繋がりも増える)
個人的に嬉しいポイントとしては「チームを組まずに1人で淡々とできる」こと。僕はあまりチームで業務を進めたりすることが得意ではないので、他人の足を引っ張ってしまう心配もなければ、仕事が遅い人にイライラする必要もない。
自分のペースでやった分だけがそのまま広告収入という形でフィードバックされるので、自分で目標設定やノルマを設定しやすく、目標達成のための努力も容易でストレスもほぼない。仮にブログが塾や予備校のような点数や順位でブロガーとしての地位が決まる仕組みだったら、僕はそもそもブログを開設していないと思う。
とは言え、ブロガーは横の繋がりも多く、頻繁にブロガー向けのイベントやオフ会なども各地でやっている。SNS 上での繋がりもできるし、自分が関わりたいときだけひょこっと顔を出したり、忙しいときはちょっと離れてみたりと、部活やサークルなんかと比べても比較的自由。集まったとしてもブログは基本的に個人プレー。やってもやらなくても他人に迷惑は掛からないのは気が楽だ。
趣味として奥深くかなり面白い
他にも趣味はあるが、ブログは特に趣味として奥が深くて面白い。開設段階でドメインをどうするか、サーバーをどうするかなど細かいところから、ブログのスタイル(オピニオンなのかレビューブログなのか、料理なのかガジェットなのかなど)やターゲット層(老若男女どの層に読まれたいかなど)を決める。
その後実際にブログを運用してみて、段々と規模が拡大していくと今度は企業と提携したりイベントに参加したりと拡大していく。個人だけでひっそりと楽しんでいたものが、仲間や副業内での仕事相手ができたりと楽しくなっていく。
副業という意味でも、ちょっと広告を貼る位置で収入が数十%単位で変わったり、紹介する製品の伝え方によって反響が全くことなったりと、ちょっとしたところで収入が全く異なってくるのも面白い。
まとめ
「副業としてのブログ」が注目されるなかで「ブログ稼げるって言われるのに全然稼げないじゃん!ブロガーは弱者から搾取している!ねずみ講だ!詐欺だ!」というネガティブな意見が増えるであろう(実際既にそういう人から批判を受けたりもする)。なので、この記事は自分たちブロガーを保身するという意味でも、(副業という意味での)ブログのリアリティを紹介してみた。
僕はブログを始めてからまだ1年ちょっとでブロガーのなかでもかなりの新参者。こんな僕がこういった意見するのはおこがましいかも知れないが、敢えて客観的な目線から「副業としてのブログ」を書いてみた。
少々辛辣かもしれないが、これからブログを始めようと思っている人は、上記したメリットとデメリットを頭に入れて挑戦してみてほしい。ブロガーの人にはこの記事をシェアしてもらえると嬉しいです。