スタイリッシュでお洒落。デンマークの老舗オーディオメーカー「Bang & Olufsen(バング&オルフセン)」が展開するカジュアルシリーズ「B&O PLAY」 にて、完全ワイヤレスイヤホン(トゥルーワイヤレスとか完全独立型ともいう)『Beoplay E8』が昨年登場。
以前「今日発売!B&Oの独立型イヤホン『Beoplay E8』の音質が良くて欲しい」という記事で紹介し、どうしても自分でしっかりと使ってみたくなったので、今回完実電気にお借りしてレビュー。音質も外観もとても良い完全ワイヤレスイヤホンなのだが、Android ユーザーにとっては若干クセもあったのでそれを踏まえてレビューしておきたい。
■良い点
- 小型で持ち運びに便利
- 完全独立型にしては音質も上々
- 見た目がスタイリッシュでお洒落
- 周りの音がマイクから聞こえるTransparencyモードは便利
- コンプライのイヤーピースが付属
■残念な点
- Android 端末とのペアリングがイマイチ
- 税込み価格 3万2,900円と完全ワイヤレスイヤホンの中では高価
- タップの感度が良すぎで誤作動が起きることも
バングアンドオルフセン「B&O PLAY」 の完全ワイヤレスイヤホン『Beoplay E8』レビュー
『Beoplay E8』は、デンマークの老舗オーディオメーカー「Bang & Olufsen(バング&オルフセン、B&O)」が、2017年11月21日に発売 Bluetooth 対応の完全ワイヤレス(独立型)イヤホン。日本の販売代理店の小売希望価格は3万463円(税込み3万2,900円)で、カラーは Black(ブラック)と Charcoal Sand(チャコールサンド)の2色展開だ。
ミニマルでスタイリッシュなデザインがなかなかお洒落で、ソニーやBOSEといったメーカーの完全ワイヤレスイヤホンのメカっぽいゴテゴテ感がなんとなく好きじゃない人にとっては嬉しい完全ワイヤレスイヤホンだ。世の中には数々の完全ワイヤレスイヤホンが出揃った印象だが、Apple の AirPods を除くと、この Beoplay E8 がデザイン的にもブランド的にもベストだと感じる。
■Beoplay E8 の特徴
- ミニマルな外観
- ケースが小型で軽量
- 安定した接続性を生むペアリング技術
僕がちょっと前まで使っていたオンキヨーの完全ワイヤレスイヤホン『W800BT』は、音質は納得のいくクオリティだったのだが、デザインはメカメカしいというか、ちょっとガジェットに寄り過ぎな印象もあった。イヤホンは少なからずファッション的な要素がある。そういった意味でも、Beoplay E8 は良い。
■Beoplay E8 のスペック
- 寸法: (イヤフォン) 幅×高さ×奥行き 23×20×25 mm、(充電ケース) 幅×高さ×奥行き 73×47×33 mm
- 重量: (イヤフォン右側) 約7g、(イヤフォン左側) 約6g、(充電ケース) 約45g
- 形式: ダイナミック型
- ドライバー径: 5.7mm
- 周波数特性: 20Hz-20000Hz
- 電源: リチウムイオンバッテリー(充電時間/約2時間、再生時間/最大4時間)、充電ケース: フル充電で最大2回分充電可能(充電時間/約2時間)
- Bluetoothバージョン: 4.2
- 対応コーデック: AAC
- 付属品: Comply Sportイヤーピース (Mサイズ)、シリコンイヤーチップ(4サイズ)、充電用ケーブル、クイックガイド
- デザイナー: ヤコブ・ワグナー
気になる人にとっては気になるスペックはこんな感じ。Beoplay E8 は AAC形式に対応している。これは iTunes から曲をダウンロードした際の拡張子で、AAC形式であれば事実上は Bluetooth による再圧縮を受けずによりクリアな音質で曲が聴けるといえる。
気になるバッテリーは、連続再生時間は4時間、ケースで2回フル充電ができる――ここまでは説明書を読めば明確な情報だ。それでは、どんな外観なのか、音質など実際に使用したレビューを写真を入れ込んで紹介したい。
ミニマルで北欧的なデザイン性の高いパッケージ
まずパッケージ。北欧のオーディオメーカーということで、パッケージデザインからすでにミニマルテイストで、トバログ的には最高だ。写真以外には色を使わず、モノトーンでまとめている。写真も彩度が低めで、より高級感というか高級家具のような色使いをしている。日本語の記載はほとんどないので UI は最高とは言えないが、デザイン性を貫くバング&オルフセンらしくて丁度良い。
パッケージを開くと、全面に本革製の充電器兼ケースと、Beoplay E8 の本体がお目見え。今回お借りしている Beoplay E8 のカラーはブラック。ロゴが全面に刻印してあるが、同系色でまとまっているためにうるさくない。
一応付属品も紹介。こんな感じで説明書と充電のための micro USB ケーブル、そしてコンプライのイヤーピースを含む大小4種類のイヤーピースが付属している。
ハウジング部分の重さは片耳で 6g 程度。ケース無しでのバッテリーライフは連続再生で4時間
こちらが Beoplay E8 の筐体。極力耳に収まるサイズ感で、AirPods のように “うどん” のような突起もなく至って普通。重さは片方で 6g(右側は7g) となっている。ハウジング(イヤホンの音を出す部分)は有線のイヤホンと比較すると大きいが、完全にケーブルレスにするために Bluetooth レシーバーやバッテリーを備えているため。サイズは大きめだが、他の完全ワイヤレスイヤホンと比較しても大きさは同じくらい。
このハウジング部分のサイズがバッテリーの持ちや音質に関係してくる。ちなみに Beoplay E8 のバッテリーライフは、連続再生で4時間ほど。通勤通学やカフェでのちょっとした作業ならケースは必要ないが、それ以上使用したい場合はケースも持ち歩きたい。
ロゴがある円形の箇所はタッチパネルになっていて、再生、停止、曲送りなど「タッチコントロール」が可能。そして物理ボタンがまったく存在しないというのは大きなポイント。電源のオンオフもタッチで行うのだが、防水機構というわけではない。操作方法などは後述するが、音量調整以外はこのタッチパネルで完結する。
また、左耳部分を軽くタッチすると外の音がマイク越しに聴こえる「Transparencyモード」を搭載。これにより、わざわざイヤホンを外すことなく、店員さんとの会話や社内のアナウンスを聴くことができる。地味に便利だし、マイクから集音するので「雑音BGM」が好きな人にとっても嬉しい機能かも。
Beoplay E8 にはコンプライのイヤーピースが付属する
Beoplay E8 は、「遮音性が高まり音質が向上する」ということで人気の『コンプライ(COMPLY)』のイヤーピースが付属している。コンプライのイヤーピースは、耳栓タイプのインナーイヤー(カナル型ともいう)タイプのイヤホンに装着できるイヤーピースのこと。低反発ウレタン素材で従来のシリコンのイヤーピースよりも耳にフィットしやすい。
単品で購入するとけっこうお高い(1ペアで1,000円とか)ので、コンプライのイヤーピースが付属しているというのはけっこう嬉しい。
ケースは本革製。小型ながら2回の充電が可能
音質やハウジングのデザイン性はもちろんだが、Beoplay E8 を手にして一番良いと感じたのは「ケースのサイズ感」。これまでは Apple の AirPods が圧倒的にコンパクトで、その他の完全ワイヤレスイヤホンは、ハウジングこそ小型でもケースのサイズが大きいということもしばしばあった。
とくにオンキヨーの W800BT はケースが大きくポケットどころかちょっとしたカバンに収納しても邪魔になサイズ感。ちょっと外に出るときにはケースから外して持ち歩いた。
Beoplay E8 は鶏卵くらいのサイズで、ジーンズのポケットに無造作に入れてもそこまで違和感のないサイズに仕上がっている。ケースもシボの本革だし、質感も高くちょっとしたコインケースのような印象だ。このコンパクトさとデザイン性の高さながらバッテリーをケース側にも搭載していて2回フル充電できるというのは嬉しい限り。強いて言えばスラップ部分がちょっと安っぽいので、ここも革ひもとかにしてほしかったなあ。
とはいえこのサイズ感のケースで完全ワイヤレスイヤホンを持ち歩けるのは、けっこう嬉しいポイント。
ペアリングや切断、遅延など使用感はどうなの?快適性はもう一歩
デザインが最高なのは前述したとおり。では使用感はどうなのかというが、やっぱりユーザーとしては気になるところ。基本的には快適に毎日通勤で使えているのだが、やはり完全ワイヤレスイヤホンにはまだまだ問題がつきもの。僕が Beoplay E8 を使ってみて感じた「迷ったポイント」も紹介しておく。
タッチコントロールでの操作は心地よい。でも触れただけで音楽が停止してしまうというデメリット
Beoplay E8 のウリは、物理ボタンが一切なくタッチコントロールで完結するというスタイリッシュさ。音楽を再生するのも曲送りするのもタッチで操作できるのは、ちょっと近未来にきた感じでクールだ。
ただ、その操作性が仇となることも。例えばちょっと耳に押し込む際などに誤ってタッチコントロールに触れてしまうと、音楽が停止してしまうことも。また、手袋を装着していると気軽に操作は難しい。慣れれば問題はないのだが、触れただけで操作が完結するというのはちょっと使い所が難しい。
スムーズにペアリングができない、自動接続できない場合と解決策
僕が Beoplay E8 が抱える大きな問題点としてスムーズなペアリングや接続ができないというのがある。
具体的には「何回かやり直しをしないとペアリングできない」というもの。最初は「不良品かな?」と感じたが、ペアリングに関しては何度か挑戦したら上手くいった(iOS ではまったく問題ない)。
また「Beoplay E8 の電源を入れた際に自動接続できない」という問題にも僕は悩んでいたのだが、こちらに関してはペアリング情報の重複が起こっている可能性が高いという。「左右を10秒間押し続けてリセット(赤色の LED が点滅)して、再度ペアリング」で解決した。
とくに、僕は Android スマートフォンでは比較的人気の高いと思われる Galaxy Note8 を愛用しているのだが、数回やってもペアリングができず「不良品かな?」と感じたほど。感実電気の担当者によると、Android 端末での接続不良は数件報告が入っているとのことだった。
iPhone ユーザーにとってはまったく問題ないとは思うが、Android ユーザーは、きちんとスマートフォンと接続できるかを店舗で試してから購入したほうが良さそうだ。
途切れる?遅延や混線など Bluetooth 接続の問題はほぼ無し
通勤通学時、せっかく音楽を楽しんでいるのに「音が左右でプツプツと途切れる」という悩みは、完全ワイヤレスイヤホンを所持している人ならば誰もが味わう問題だろう。実際僕も W800BT を使っていたときは、新宿や渋谷、秋葉原など人通りの多い街だと、断線したイヤホンを身に着けているような感じでプツプツと途切れるのが悩みだった。
さて Beoplay E8 の左右で Bluetooth が途切れる問題はどうか。結論、通勤ラッシュ時の朝の新宿駅でもほとんど途切れることなく、驚くほど快適に使用できている。これは、補聴器やヘルスケア分野で用いる「NFMI(Near-Field Magnetic Induction/近距離磁界誘導)ペアリング技術」を採用しているため。
Apple の AirPods もこの技術を採用しているそうだ。NFMI の詳しい技術解説は以下の記事で紹介されている。
▷AirPodsのキーデバイス? NXPがNFMI対応SoC発表|EE Times Japan
また、完全ワイヤレスイヤホンでありがちなのが音の遅延。一般的に完全ワイヤレスイヤホンは高音質を追求するほど遅延が目立つ印象で、音ゲーはおろかドラマや映画でさえも気になるということが言われている。しかし Beoplay E8 においては、映像と合わせて使うにはとくに気にならないレベルだった。さすがに遅延にシビアな音ゲーは厳しいかも。
Beoplay E8 の音質はどう?フラットで柔らかさを感じる音作り
Android 端末とのペアリングでは若干不安を感じたが、接続できてしまえば音質はなかなかのもの。「今日発売!B&Oの独立型イヤホン『Beoplay E8』の音質が良くて欲しい」でも簡単に書いているが、音に関してまとめると以下のような感じ。
- しっかりと音楽が愉しめる音質
- 解像度が高く1万~2万円程度の有線イヤホンと比較しても遜色ないクリアさ
- 比較的低音が強めな印象
- 高音のクリアさがやや惜しいがアプリのイコライザで対応できそう
といったところ。完全ワイヤレスは音質があまり良くないものが多いのだが、Beoplay E8 は比較的解像度が高く、クリアで迫力のある高音質が楽しめる。「完全ワイヤレスはここまで来たか……!」と唸らせてくれること間違いなし。
実際、3万円という値段で完全ワイヤレスはなかなか高い方だが、高音質を求める層にも認められたのか、某ランキングサイトのカナル型イヤホン部門を見ても堂々の1位(記事執筆時点)。レビューに関しても評価が高い。
理由としては、通常ワイヤレスイヤホンというのは Bluetooth 無線技術で転送しているため。一般的に素のままの音と比較して、若干だが劣化しやすいのが欠点だった。その点 Beoplay E8 は AAC形式に対応している。これは iTunes から曲をダウンロードした際の拡張子で、AAC形式であれば事実上は Bluetooth による再圧縮を受けずによりクリアな音質で曲が聴けるといえる。FLAC に対応したら最高だけど多くは求めません。
ボーカルの声や息遣いがしっかりと聴こえるし、音に厚みもある。ちゃんと頭部の中心で左右の音がバランス良く聴こえてくる感覚が味わえるのはちょっとびっくり。テクノ系の高音域も綺麗だし、個人的には低音も(フラットな雰囲気ながら)なかなかのものだと感じた。
まとめ:Beoplay E8 は買いか
ここまで、僕が Beoplay E8 を実際に一ヶ月ほど使ってみた雑感をレビューとして、良い点と悪い点をそれぞれまとめてみた。結局のところ “買いか否か” で判断するならば「完全ワイヤレスイヤホンでもデザインと音質を重視したいなら Beoplay E8 はベストバイ」だろう。
ただし Android ではペアリングが不安定だったりするので、Android ユーザーは所持する端末で滞りなくペアリングできるかを確かめてから購入するかどうかを決めよう。
↓個人的には中古ではなく、Android でペアリングできなくても返品できるアマゾンで買うのがオススメ。現在は3万円を切る価格で購入可能だ。
↓外観のミニマルさなら B&O Play Beoplay H5 も気になる。E8 と同等の音質で中古なら2万円を切っている↓