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【書評】廃業の危機から起死回生。1本3,000円の超人気ガトーショコラを生んだ「余計なこと」をやめる術[PR]

【書評】廃業の危機から起死回生。1本3,000円の超人気ガトーショコラを生んだ「余計なこと」をやめる術[PR]


潰れかけていたイタリアンレストランが、なぜ「ガトーショコラ」だけで売上を伸ばし続けることができるのか――。

Twitter などでも度々話題となる「売り切れ続出、予約で2ヶ月以上待ちの『特撰ガトーショコラ』」を販売するケンズカフェ東京。1本3,000円という強気な価格ながらも大人気で、テレビや雑誌でも見かける土産物の定番アイテムだ。日本でガトーショコラの認知度が高まったのは、ケンズカフェ東京による効果といっても過言ではない。

いわゆる目玉商品だけで一躍人気となった順風満帆の人気スイーツ店という印象があったが、イタリアンレストランとして経営していた頃は閉店の危機に陥っていた。ではどうやって人気スイーツ店となったのか、どう業績を回復していったのかーー。

今回、ケンズカフェ東京の氏家健治(うじいえ けんじ)氏より、自身の著書『余計なことはやめなさい! 』を献本いただいたので、独立したてのトバログ目線で書評をしておこう。

 

◼︎この本をおすすめしたい層

  • 独立や副業など自分の事業を持っている人
  • 無駄な仕事が多いと感じる20代会社員
  • ビジネスを優先順位やマーケティングなどの側面から知見を得たい人

 

『余計なコト』をやめて本質に注力する。ビジネスの成功に通ずるミニマリズム。

今でこそガトーショコラ1本だけで成功といえる規模まで成長しているケンズカフェ東京だが、氏家氏が独立した29歳~32歳だったとき、イタリアンレストラン経営時には閉店の危機にあったと語っている。

新宿御苑から徒歩5分以内と立地は良く、ランチ時間は客が訪れていたものの、収益のメインとなる夜間になると客足が新宿へと向かってしまい、見込んでいた収益が上げられなかったことが原因だ。材料費や人件費、家賃の支払いで毎月赤字経営。自分の給料はもちろん、従業員への給料も「カメラを売って」支払いに充てていた時期もあったそうだ。

「これ、自分だったらどうしよう」と身震いしながら読み進めていたが、結果的には1店舗、1商品だけで年商3億円にまで業績を伸ばしている。

気になるのは起死回生の策として具体的に「何をやめて」「何に注力した」のか。詳しくは本書を読んでもらいたいところだが、トバログ的に気になったポイントを紹介しておこう。

 

ポイント1:営業のスタイルや提供するサービスのミニマル化し、質を高めていった


氏家氏の大きな転機となったのは、営業スタイルや提供するサービスをやめていったというコト。

経営が回らなくなり、いよいよ店を閉めようと思った氏家氏は、できるだけロスを減らすために、これまでどおりのカフェタイムやランチ、ディナーと1日中働くスタイルから「ディナータイムは宴会が入ったときだけ店を開けるスタイル」へと経営体制を切り替えた。

夜間に営業するのは宴会予約が入った日だけ。完全な “受注生産” となるため、「食材(材料費)のロス」や「人件費」「光熱費」を徹底的に抑えることが目的だった。結果として黒字化に成功し、利益が上がり始めたという。

「無駄なコトをやめる」という点にメリットを感じた氏家氏は、次に利益率の低いランチやカフェタイムを無くし、完全にディナータイムのみのサービスとした。その後も事業の軸を絞っていき、当初から人気だったガトーショコラのみに注力し、最終的には1本3,000円のガトーショコラのみを提供する現在のスタイルになったそうだ。

もちろんランチが好きでケンズカフェ東京に来ていた人や、他の料理を食べたいというニーズも一定数あったはずだが、とことん1つの商品に注力することで、材料の質を高めつつ利益率を確保することが可能となり、最終的には予約が数ヶ月待ちの人気商品となる。

営業のスタイルや(ガトーショコラを含む)サービスの軸を絞ってロスを減らし、プロダクト(ガトーショコラ)のクオリティを底上げしてきたからこそ、方向性が尖っていってより目立つ存在となったのだ。

 

ポイント2:余計なことをやめた代わりにブランディングやマーケティングに注力した


ディナーやカフェタイムを無くし、ガトーショコラ1本に絞った氏家氏。売上も徐々に伸び始め、金銭的にも時間的にも余裕ができると、今度は「マーケティング」に注力する。

数年でイタリアンレストランからスイーツ店へと経営の方針も変わり、当然ながらターゲットとなる顧客層も変わったことで、「より多くの人にケンズカフェ東京の『ガトーショコラ』を知ってもらう必要がある」と感じ、今では一般化している「ぐるなび」などを2000年代初頭から活用。また、ウェブページも見やすくリニューアルを重ねたりと、店舗だけでなくウェブを活用することに注力したそうだ。

ここまではきっと多くの飲食店がやっていること(逆にやっていないで伸び悩みを感じているならすぐやったほうが良いレベル)だが、さまざまな施策を打ち出していくなかで「ガトーショコラ自体の認知度があまり高くない」ということに気づく。

「これはさすがだなあ」と感じたのは、「じゃあそもそもガトーショコラの認知度をどう上げるか」という点に着目していること。具体的にはケンズカフェ東京でのレシピを公開して一般の人が家庭で作れるようにしてみたり、YouTube で動画を公開した。

コンビニスイーツの監修を行ったというのもここに近い。またプロの広報パーソンに PR を依頼し、メディア露出なども積極的に行って、ケンズカフェ東京はもちろんガトーショコラ自体の認知度を高める工夫もしていたそうだ。

話は逸れるが、例えば最近話題となった PayPayも、決済サービスとしては他に遅れを取っていたが、キャンペーンを打ち出すことで結果的に多くの人がQR決済を使うことになり、自社のサービスを通して業界全体を盛り上げた結果になった。人は知らないことに対しての腰は重いので、まず「知ってもらう、食べてもらう」という消費者の経験値を上げることが重要なのだと、改めて本書を読んで感じる。

 

↓今年 Twitter で見かけた投稿。1万5,000RT、8万いいねが付いている。商品の質が良く、「ガトーショコラ」という認知度も高まれば、商品自体にも関心が向く良い例だと思う。

どうやって「転換の発想」に至ったのか。重要だったのは自分との対話


具体的に「どうやって業績を伸ばしていったのか」は分かった。では、そもそもなぜ「マーケティングに注力しよう」「余計なことはやめよう」という発想に至ったのか。これは僕の主観も入っているのだけれど、以下だったのだと感じる。

 

  • 最初から「余計なことをしない」のではなくできることを全部やったうえで本質を見極めていく
  • 危機から脱却するために自分のコトを考える時間を確保する

 

個人的にポイントだと思うのは、まず出来ることを色々やってみて、そこから人気コンテンツに絞っていくというやり方。本書で触れているのは「余計なことをやめる」ということではあるが、それができるのは「余計なこと」をしていたから。

例えばイタリアンレストラン経営時にはランチもディナーもやり、最終的にガトーショコラが残った。これが最初からランチに絞っていたらここに達しなかったし、ディナーでガトーショコラを提供しなかったらヒントに気づけなかったはず。セオリー通りにやっていたからこそ見えてきた「余計なこと」を捨ててこられたのが成功の鍵だと感じる。

これが前提としてありつつ、本書でも触れられている「自分が何をすべきか」を定期的に振り返っていたことが功を奏したのだと思う。例えばどれだけ忙しくても週1で振り返る時間を作って余計なことを見極めたりだとか、どういう方向に進んでいきたいのかなどを見直すこと。

簡単に言えば氏家氏は、「自分のやりたいこと」と「余計なこと」に関する PDCA を回し続けた先に現在のやり方を見出している。これはどんなビジネスでも重要だが、実践できている人が意外にも多くない。

 

より具体的な方法などは本書を読んでいただきたいのだけれど、簡単に触れるとこんな感じだ。

 

本書を踏まえてトバログでどう活かすか

最初にこの本を献本いただいた際、「でも飲食店じゃないと成功体験は通用しないのでは」と疑いつつも読み進めていただのだけれど、実際に読んでみると本の内容はかなり具体性のあるビジネス寄りの内容で、3時間ほどで読み切ってしまった。

こういう本は「読んだときの熱が冷めないうちに自分ゴト化するのが大事」だと思っているので、「氏家氏の体験をトバログに置き換えたらどうなるか」を考えてみた。

 

「余計なことをやめる」について

この本のメッセージである「本質的ではない余計なことをやめる」について。実はトバログも本書を読む前からこの点については考えるところが多い。

例えば1つの事業(メディア)に注力するために「会社員を辞めた」、メディア運営では必須とされる「SEOに最適化するコンテンツ」をやめた。注力する方向性を一般的な方向性と変えることで差別化をしている。これらはまだ実験段階だが、読みに来てくれる人も増え、良い方向に進んでいると感じる。収益の軸も比較的安定しつつ、これまでよりも大きく伸びた。

ただ、「余計なこと」を見返してみると、経理や請求書処理などの業務、スケジュール管理など、本質的に「トバログの人」として必要のない部分はけっこう思い当たる。こうした部分はもっと他人にまかせてしまっても良いのかなあと感じている。

 

どうトバログをブランディングしていくか

僕が課題だと感じているのは収益よりも「結局、トバログって何のメディアだっけ?」と、あまり尖っていない普遍的なブログメディアだという点。インパクトが弱いので認知度も低く、ちょっと中途半端になっている。これを余った時間で「トバログとは◯◯である」といえるようなブランディングをしていきたいと思う。

 

まとめ

こんなふうに「余計なことはやめなさい!」を読んでみて、さまざまなインスピレーションを受けることができた。ケンズカフェ東京は、味はもちろんだけれど、ビジネス的にもブランディング的にも上手な、1代で築いた人気スイーツ店。本書は、僕らのようなフリーランスはもちろん、20代でのキャリアを考える際にもおすすめだ。

 

■ケンズカフェ東京について

ケンズカフェ東京は新宿御苑に店を構える「ガトーショコラ専門店」。29歳でイタリアンシェフとして独立したが、その後経営は難航。ディナータイムを「宴会のみ」としたり、ランチやカフェをやめることで業績が好調に。その後1本3,000円の「ガトーショコラ」に商品を絞り、年商を伸ばした。

 

■本書の目次

  • 序 章 忙しすぎて、儲けることをおろそかにしていませんか?
  • 第1章 余計なことをやめるたびに、会社が大きくなった
  • 第2章 余計なことをやめたら、こんなにいいことがあった
  • 第3章 「余計なことをやめる」代わりに、ますます強化すべきこと
  • 第4章 「余計なことのやめ方」にはコツとタイミングがある
  • 第5章 ブランドは、余計なものを捨てた先にある