こんな写真の教科書が欲しかった。
ここ最近、ブログ用の写真だったり旅行に訪れた写真の加工にハマっている。露出やコントラストなどの基本的な加工だけでは飽き足らず、色味の調整など、その場、その人に調和した加工をするのが楽しくなっている。
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基本的には雑誌や写真集、インスタグラムなど「うわこの写真好きだな!」と思った写真を参考に、手探りで加工をしている。だいたいの加工はなんとかそれっぽくなるのだが、加工だけではなく撮影の際に気をつけるべきことがあったりすると、基礎知識に乏しい僕にとっては完全にお手上げだ。
そんなことを悩んでいるときに「PERFECT PHOTO RECIPES BOOK」という、写真の参考書を発見。いろいろと「写真の撮り方」などの本は読んできたが、この参考書が本当にオススメなので記事にして紹介しておきたい。
再現できるかは自分の腕しだい。気づきを与えてくれる写真の参考書
「PERFECT PHOTO RECIPES BOOK」は、写真家の野寺治孝(のでら・はるたか)氏が著者のフォトブック。実際に手にとってもらえると分かると思うが、写真やページのレイアウトが洗練されていて、読んでいて心地良い。写真集と参考書の間のような書籍だ。
ただ「この本最高!読んでみて!」では説得力が薄いので、具体的にどんな風にオススメなのかを紹介しよう。
- お洒落な写真で空気感まで感じ取れるような作例
- 感性に訴えかけるような空気まで切り取る “面白い写真” の撮り方を紹介している
- 具体的に「どんな瞬間」に「どう撮影しているか」が分かる
- 加工の方法も数値などではなく、あくまで感性に寄り添った紹介の方法
- とはいえ ISO や F値などの「EXIF 情報」も紹介している
- 加工ツールの紹介ではないのでスマホのアプリで加工する人が買っても意味がある
この本においてもっとも良いと感じたポイントは「あくまで加工における気づきを与えてくれる」ところ。いわゆる「この写真はこう撮れ!こういうシーンではこう加工しろ!」ではなく「この写真、綺麗でしょ。こんなシーンのときにこんな感じで撮って、加工はこうしてみた。どう?」のような、ソフトなアドバイスをしてくれるのが嬉しい。
この書籍に載っている作例は、僕が最近ハマっているフィルム調だったり、女性誌などでよく見かけるような、お洒落な色調の写真がほとんど。SNS 映えやブログ映えを狙う写真に加工したい人は、かなり参考になるはず。
シーン別にチャプター(章)が分かれていて、色々なシーンで「だいたいこんな感じで撮れば面白い写真になるのかも」という気づきを得られる。
- Chapter_1:TRAVEL(旅)
- Chapter_2:LANDSCAPE(自然風景)
- Chapter_3:PORTRAIT(人物)
- Chapter_4:ANIMAL(動物)
- Chapter_5:FLOWER&PLANT(花・動物)
- Chapter_6:FOOD(食)
- Chapter_7:STILL LIFE(スティルライフ)
- Chapter_8:STILL SHOT(スナップショット)
- Chapter_9:TOWN&URBAN(街・都会)
- Chapter_10:INTERIOR(インテリア)
- Chapter_11:ETCETERA(その他)
たとえばこのページのコメントを簡単に参照すると「場所」「機材」「撮り方」「ポイント」などを紹介している。
ISO や露出などの EXIF 情報が載っている一方で、加工などはあまりロジカルになりすぎず「被写体との一目惚れは多い方がいい」「彩度をやや上げる。コントラストをやや強く」など、あくまで感性的なところに訴えかける内容だ。
写真は文章以上に自分の好みや感性が反映される。そういった点を壊さずに「こうすると良いかも。」と気づきを与えてくれるのが嬉しい。
「PERFECT PHOTO RECIPES BOOK」を参考に写真を撮影&加工してみた
この本を参考に、いくつか写真を撮ってみたので紹介。まったく同じシーンというのはないので、この本を読んで「頭のなかにあるイメージ」で色合いなどを近いものに再現しようとしている。
[twentytwenty][/twentytwenty] (真ん中のバーを動かすと「Before(加工前)」「After(加工後)」で比べられます)
休日の午前中に作業をしようと思い、喫茶店に立ち寄った際のアイス珈琲の写真。銅製のカップと剥げた木目テーブルの雰囲気を活かそうと、露出を下げてコントラストをやや高めに。
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[/twentytwenty] (真ん中のバーを動かすと「Before(加工前)」「After(加工後)」で比べられます)
ミュンヘンの朝。時差ボケで寝ぼけていた朝に友人が珈琲を淹れてくれた。朝日と湯気が綺麗だったので思わず撮影。コントラストを若干上げて、彩度はやや低め。春であればもう少し透明感を意識してもよかったかもしれないが、秋だったので朝でもちょっと色温度を暖かくしている。
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[/twentytwenty] (真ん中のバーを動かすと「Before(加工前)」「After(加工後)」で比べられます)
花見の前に訪れたビアバーランチの坦々うどん。そのままでも綺麗だったが、宣材写真のようなつまらなさを感じたので、全体的に青を強めにして「シンプルな暮らし」を意識。彩度を下げていることで、実際の見た目よりもさっぱりとして見える。
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[/twentytwenty] (真ん中のバーを動かすと「Before(加工前)」「After(加工後)」で比べられます)
ミュンヘンの市場で撮影。色とりどりなベリーが並ぶ。原色っぽいインパクトが欲しかったので、大きくトリミングをしてみた。コントラストと彩度を上げて、ベリー系のフレッシュさと、どこかノスタルジックな印象を与える写真に。
[twentytwenty] [/twentytwenty] (真ん中のバーを動かすと「Before(加工前)」「After(加工後)」で比べられます)
風が強い連絡船。帽子が飛ばないように、必至に抑える女性を撮影(許可済み)。彩度を大きく下げて、オレンジをやや赤よりに。透明感のある女性らしい印象は維持しつつ、髪の色と服装からやや暖かい色味にしてみた。
まとめ:スマホでもPC でも写真を加工して SNS にアップする人にオススメ
「PERFECT PHOTO RECIPES BOOK」は、「この写真、どんな風に加工しているのだろう?」というプロの写真家に対する疑問をある程度解決してくれる良い写真の参考書だった。
どんな人にオススメかというと「アプリやツールを使ってある程度色味などの加工ができる人」。特別な知識がなくても、例えばインスタグラムの標準加工ツールでも「感性とどこをどう調整すればこれに近い色になる」というのが分かれば、どんな人が読んでも参考になると思う。 2,000円弱だが、一冊持っているといろいろなシーンで使えるので、是非一冊購入してみよう。
スマホで撮った写真はどんな加工アプリがオススメ?という人には是非『iPhoneだけで写真をフィルム風に加工する方法。無料アプリだけで雑誌写真のような仕上がりに』も合わせて読んでほしい。
↓紙の質感なども合わせてお洒落なので是非紙の本で持っていたい↓
著者:野寺治孝(のでら・はるたか)
1958年千葉県浦安市生まれ。写真家。海や日常風景の周りに漂う空気感と自然光を活かした撮影に定評があり多くのファンを持つ。主な仕事に松任谷由実のコンサートパンフレットとCDジャケット、丸の内カレンダー(三菱地所・伊東屋)、サマーグリーティング切手2015、2016年(日本郵政)などの撮影を手掛ける。その他雑誌、写真展、講演など多数。http://www.nodera.jp