所有欲が満たされる、ミニマルな折り畳みスマートフォン。
ちょっと前に「読書や作業が捗りそう。『Surface Neo』と『Surface Duo』が気になる理由&こう活用したい」でも紹介した Surface Duo。発売されてからもずっと気にはなっていたのだけど、昨年は Galaxy Z Fold2 や iPhone 12 mini で忙しく、なかなか手に入れる機会を失っていた。
最近になって「Surface Duo が $999 に値下げされた」とニュースで見かけ、あの洗練された筐体デザインがどうしても忘れられずに購入。簡単な開封レビューをお届けしたい。
マイクロソフトの折り畳みスマホ『Surface Duo』
Surface Duo はマイクロソフトが発売した Android OS 搭載の折り畳みスマートフォン(マイクロソフトは “スマートフォン” とは謳っていないが)。5.6型のディスプレイを2枚搭載しており、開いて使えば8.1型のタブレットとして使える点が特徴だ。
もともとは $1,399 からだったのだけど、少し前の値下げで価格は $999 から。日本から購入するには、ebay などを用いて個人輸入する必要がある。ちなみに僕は Big Apple Buddy で購入。256GBモデルが諸経費込みで約15万円だった。
Surface Duoのスペック
OS | Android 10 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 855 |
メモリ | 6GB DRAM |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 8.1” AMOLED, 2700×1800 (3:2), 401 PPI (Single : 5.6”, 1800×1350 (4:3), 401 PPI) |
サイズ | 145.2 x 93.3 mm x 9.9 mm |
重さ | 250g |
バッテリー | 3577mAh |
カメラ | 1100万画素(1眼) |
ずっと手に持っていたいミニマルな外観
詳しいスペックは後述するので、まずは外観から。個人的に惹かれたのがこのデザイン。昨今のスマートフォンとは一線を画する外観で、表面にカメラやディスプレイはなくロゴがあるだけ。
表面は光沢感のあるガラス素材で、光を当てると反射する。いわゆるスマホ的なガジェット感は薄く、どちらかといえばちょっと高めの文房具という印象だ。
実際に手に取ってみて、一番驚いたのが筐体の薄さ。折り畳んだ状態でも 1cm を切っており、開くとなんと 5mm を切っている。しかも MacBook Air のように傾斜があるわけではなく、表面はフラットなのにこの薄さ。この中にバッテリーや指紋センサーを内蔵していると思うと、ますます理解できない(褒めてる)。
なおフレーム部分はややグレーがかったマットな質感の樹脂製。落下時の耐久性は心配だが、個人的にはクリーンにまとまっており好感が持てる。
「このサイズ感、どこかで触れたことがあるな……」としばらく考えていたのだけど、なるほどモレスキンのノートブックとほぼ同じサイズだ。ここまで横幅を広げるのはスマートフォンとして不格好な気もする。しかしデュアルスクリーンを搭載し、かつペンを走らせるコトを考えると、この幅に合点がいく。
新しいスマホのあり方。2枚のディスプレイを別々に使う
Surface Duo を開くとこんな感じ。iPad と同じ 4:3 のディスプレイが2枚、まるで本のように配置されている。それぞれがシームレスに連動して、PC と同じような 3:2 のディスプレイのように表示できる。
個人的に面白いと思うのが「2画面を1画面として使うというより、2画面をそれぞれ別アプリを立ち上げながら使う」ことが想定されている点。例えば左のディスプレイで Twitter を立ち上げても、右のディスプレイはホーム画面のまま。ここに Chrome を開いて調べものをしても良いし、ゲームを表示もできる。もちろん全画面表示も可能で、その場合はディスプレイ下部のバーを中央部分にスワイプすればいい。
これはおそらく「PDF資料を見ながらオンライン会議がしたい」などビジネス的なシーンを想定しているのだと思う(実際に外資系クライアントと会議をする際、先方は歩きながらスマホで参加ということが多々あった)。
同様の折り畳みスマートフォンでいうと Galaxy Z Fold2 などが人気だけれど、あちらはタブレット的に全画面表示がメインの使い方で、Surface Duo は PC の画面分割(Split View 的な)がメインの使い方。両方を使っている感覚だと、それぞれが似て非なるデバイスだと感じる。
カメラ性能は必要最低限
最近のスマートフォンはカメラとしても重要な役割を果たしているが、Surface Duo はカメラの優先度が低く、記録として写真を撮る(もしくはwebカメラ)程度の性能だ。
ディスプレイ面を開いて使う必要があるし、一応1100万画素ではあるもののシングルカメラ(Z Fold2 は3眼)で画質もあまりよくはない。おそらく薄さと重さ、価格のトレードオフなのだと思う。
コンセプトは良いがスペックやソフトウェアに難あり。実際に数日間使ってみた感想
Surface Duo が届いてから数日間、メインの SIM を挿して運用してみた感想をつらつらと書いていこう。結論からいうと Surface Duo は「マイクロソフトが掲げた『スマートフォンとタブレット端末の垣根を超えた、まったく新しいハイブリッド端末』という思想にハードウェアとソフトウェアがついていけていない」印象を受けた。
筐体デザインや2画面を活かしたユーザー体験は素晴らしいのだけど、実際に蓋を開けてみると「画面の方向がおかしくなる(縦横が動作しなくなる)」「スペック不足でアプリの動作がもたつく」などデメリットが重たくのしかかる。
最近のスマートフォンはエントリー機でもそれなりにサクサク動くと思うけれど、Surface Duo は3年前に「このもっさり感は2年前のスマホみたいだ」と思っていたような感覚。この点は動画でも触れているが、実際に数日間使ってみると動作がとにかくストレスに感じる。外観が良いだけにこの点は非常にもったいない。
動作のもたつきに目をつぶればビューワーとしては最高
とはいえカフェや電車内で開きながら使う用途にはかなり快適だ。資料を確認しながらメールの返信もできるし、本や漫画、雑誌も快適に読める(移動の多い営業職に便利そう)。
とくにディスプレイの解像度が高く、3:2 のアスペクト比もかなり使いやすい。老眼持ちには厳しいかもしれないが、雑誌も見開きで拡大せずに読める点も個人的には嬉しい。
外部のBluetoothキーボードとの相性も良い
また見開きでの表示が 3:2 で PC に近いため、例えば外部の Bluetooth キーボードを接続してそれぞれ別アプリを表示すれば、まるで PC の2画面表示のように使えるのが便利だった。
余談だが Surface Duo とリモートデスクトップの相性は、数あるスマートフォンの中でもトップクラスに良い(3:2 のアスペクト比かつ大画面なので)。
例えば出先で「家のPCにある資料が必要だ! 」となった場合でも、Surface Duo から自宅で起動している PC をリモートで操作することも可能。リアルタイムに文字入力や動画編集は難しいけれど、Illustrator で動画サムネを作ったり、ローカルにあるファイルをクラウドに共有といった操作が快適にできる。
まとめ:おすすめはしない、でも好き
こんな感じで Surface Duo を買ったよ! という記事を書いてみた。ハードウェアやソフトウェアの問題がかなり大きく、決して万人におすすめできるモノではない。とくに普段からハイエンドスマホを愛用している人にとって、これは耐え難いもっさり感だ。
だけど Surface Duo のミニマルな外観デザインはとにかく好きだ。カメラもディスプレイも表面には搭載しないフラットや、閉じた状態でも1cmを切る薄さは最高にクール。側面のグレー調のフレームや付属するバンパーも好き。
すでに成熟しきったスマートフォン市場においてはもう一歩(いや、あと三歩! )だけれど、マイクロソフトがこのデバイスに乗せた思想は個人的に応援したい。
↓ Surface Duo ユーザーにおすすめしたいアクセサリー類