メガネに装着し瞬きでシャッターが切れるカメラ「BLINCAM(ブリンカム)」が昨日よりクラウドファンディングサイト「makuake」で出資を募っている。記事執筆時点で残り72日間残っているが、すでに目標額の800%を達成している。
blincam Inc. CEO である高瀬氏と直接話せる機会があったので、色々と聞いてみた。BLINCAM の特徴や詳細を紹介しつつインタビュー形式でバックグラウンドなどを紹介したい。
blincam とは?どんなシーンで役立つカメラなの?
「BLINCAM(ブリンカム)」は、日本発のスタートアップ blincam Inc. が出資を募っているメガネに装着するタイプのウェアラブルデバイス。メガネに装着し、ウインクするだけでシャッターが切れるカメラで、手が離せないような状況や煩わしいボタン操作などをせずに自然なシーンを撮影できるとしている。
自転車に乗ったり料理をしている最中にもシームレスに写真が撮影できる仕様。BLINCAM 自体がメガネと一体型ではないので、日常的に使っているメガネに装着できるのが特徴。撮った写真はアプリ経由でスマートフォンに転送できるほか、micro USB端子経由で PC などに転送が可能。
こちらがコンセプト動画。動画内では女性が日常のシーンを撮影したりと実用性を意識している印象。
これが BLINCAM の筐体。筐体の素材は軽量化と強度を考慮してプラスチック製となっている。
上から見たところ。カメラのモジュール限界近くまで筐体が小型化している印象を受ける。
メガネに装着するクリップ部分はラバー製になっており、メガネの柄を傷つけないようになっている。またメガネのサイズに合うように3種類のアタッチメントが用意される予定。
充電や画像の転送はこちらの micro USB 端子から行う。
簡単なスペックは以下。
- 画素数:500万画素(HD CMOS)
- バッテリー:待機時間8時間(電源を入れた状態でシャッターを切らない場合)
- サイズ:85 x 17 x 10(mm)
- 重さ:25g
- 通信方式:Bluetooth 4.1
カメラは500万画素。技術的にはスマートフォンと同等のカメラモジュールを搭載可能だが、コスト面を考えた上でこのスペックに落ち着いたそうだ。ブログや SNS でアップする分には画質面では特に問題はないだろう。
カラーはシンプルなものからビビッドなものまで5色展開。自分のメガネに合ったカラーを選べるのが良い。価格は定価で1万9,800円としているが、クラウドファンディング中は1万8,000円で購入が可能。出荷開始時期は来年1月を予定している。
また100台限定で上のようなカラーもクラウドファンディング期間中は購入ができる。こちらは 2万4,800円で、記事執筆時点ではまだ購入が可能。
インタビュー:BLINCAM が誕生した理由
ーーなぜ BLINCAM を作ろうと思ったんですか?
最初はストレスなく「自然な子どもの笑顔を撮影したい」という思いがあって。スマートフォンって身近なカメラですけど、ポケットから取り出したり面倒じゃないですか。子どもはずっと同じ表情しているわけではないので、すぐ撮りたいって思ったんです。
ーーなるほど。たしかに子どもは待ってくれないですよね。
高瀬氏:そして BLINCAM のことを周りに話すうちに「サイクリングの際運転しながら写真を撮りたい」とか「料理の際に写真を撮りたい」とか、子どもがいない人たちにも需要があるなって感じたんですよね。なので最初は小さい仲間うちからプロジェクトがスタートしました。
去年の4月にアイデアを出しをはじめて、7月にプロトタイプの製作に踏み切りました。ちなみに初期のプロトタイプはこんな感じですね。
ーー今と全然違いますね!でかい…。
高瀬氏:はい。技術的な面もあったので完成形とは程遠い形状をしています。夢の話ばかりで前に進まないよりまずは実際に作ってみようと思ったんですよ。そこからいくつかプロトタイプを作って、試行錯誤を重ねて現在の形状に落ち着きました。
ーーなるほど。目に装着するウェアラブルカメラってグーグルグラスとか一体型のイメージがありますけど、BLINCAM は既存のメガネに装着するんですね。
高瀬氏:そうなんです。メガネも一緒に作るとコストもかかるしどうしても高くなってしまう。しかも自分で好きなメガネかけられないじゃないですか。それって実用的ではないと思っていて。
ーーたしかに日常生活でカメラ付きのメガネは掛けにくいですね。
高瀬氏:普段掛けているメガネに、必要な時にポケットから取り出して装着すればすぐ使えるみたいなフットワークが欲しかったんです。ゆくゆくはネックレスタイプのアタッチメントを製作して、使うときだけメガネに装着できるみたいにしたいですね。
ーー自分のメガネが使えるのはいいなぁ。そういえばシャッターってウインクで切るんですよね?どんな仕組みになってるんですか?
高瀬氏:まだたきセンサーは、強くまだたきした時のこめかみの筋肉の動きを電波で感知してるんです(特許出願中)。なので通常の軽いまばたきでは反応しないようになっています。下の画像のように強めにウインクするのがシャッターを切るコツですね。
ーーそれはすごい。僕最初「ウインクでシャッターが切れるカメラ」って聞いて、普段のまばたきでもシャッターを切るのかと思ってました。
高瀬氏:稀に普通のまばたきでも反応することもありますが、テストでは約90%は正確にシャッターが切れました。
ーーウインク以外にもシャッターって切れるんですか?例えば電源ボタンを2回押しなど。
高瀬氏:盗撮防止などの関係で今のところは実装していません。しかし要望が多ければ実装することも考えたいと思います。
ーーウインクが速い人は連写とかも可能なんですか?
高瀬氏:現時点では iPhone のバーストのような速度では撮影できません。パシャ、パシャといったように1秒間に 2~3枚くらいの間隔ですね。
〜これからの BLINCAM の展開について〜
ーーこれから BLINCAM はどのように展開されていくんですか?
まず来月中に現在の形状のプロトタイプが上がってくるので、そこから色々と細かいテストを繰り返していく予定です。また、今年の11月から米国のキックスターターでもクラウドファンディングをスタートする予定です。
ーーキックスターターにも展開予定なんですね。将来的には市場でも販売予定ですか?
高瀬氏:もちろん販売を予定しています。国内ではアマゾンで販売する予定です。またビジネス向けにも展開を予定していて、例えば歯医者など両手がふさがっている状態でも写真として記録を残しておきたいといった職種にアプローチしています。
ーーなるほど。ありがとうございました!
まとめ
残り70日で目標額の800%を達成している BLINCAM。従来のメガネ系ウェアラブルデバイスよりも、安価で自然に使えるというところから人気を博している印象を受ける。子どもの自然な笑顔が撮りたい人やスポーツなどをする人にはうってつけの製品なので、10%オフで購入できる今、思い切って出資してみるのも良いだろう。