以前『クラウドSIMの海外WiFiルーター「jetfi」レビュー。SIM交換不要で複数国行くなら便利』という記事を書いたのだが、前回は「ドイツでも使ってみます〜」というところで終わってしまった。先日ドイツから帰ってきたので、ドイツやオーストリアなど国を跨いでの使用感、速度などを改めてレビュー。
ヨーロッパのように複数国を周ることが多い場合や、別の国で数時間のトランジットがある場合などはかなり便利だった。ちなみに今回はブロガーのプログラムで端末を提供してもらってのレビューとなるが、[PR]記事ではないので思ったことを率直に書きたい。
クラウドSIMの WiFiルーター「jetfi」とは?
jetfi は、クラウドSIM と呼ばれる技術を用いた WiFi ルーターで90カ国以上の国と地域で LTE 通信が可能。jetfi の特徴は SIMカードなしで、各国で最適な通信業者に自動で接続できる点。
技術としては、 SIMバンクと称される端末に各国の SIM が挿してあり、 それを母体として各 WiFi ルーターに SIM 情報を送り、クラウド SIM 環境を実現していると謳う。
jetfi の利用料金や容量、利用可能国など
価格は通常の海外渡航者向けの WiFi ルーターと同価格帯で
- アジア向け・・・1日980円
- グローバル向け・・・1日1,280円
の2つと単純明快で分かりやすい。なお各プランの対応国は記事の一番下に記載しているのでそちらをどうぞ。
1日の通信制限は 500MB。ドコモやソフトバンクなど、各キャリアのローミングプランは1日24MB〜30MB、海外ポケットWi-Fi で有名な「イモトの Wi-Fi」でも 3日で400MB以下推奨となっているので、(足りるか足りないかは別として)それなりにお得感はある。
また他の海外WiFi ルーターサービスの多くが未だに 3G 通信のみとなっているが、jetfi は LTE の高速通信がより多くの国で可能となっている。
500MB あればこんなことできますよ〜という一覧。ちなみに iCloud や AppStore の Wi-Fi 接続時に大容量の通信をする設定をオフにしておかないと、2時間くらいで使い切ってしまう。
今回の僕の旅のルート
僕の今回の旅のルートは
- 日本→中国(上海で7時間のトランジット待ち)
- 中国→ドイツ(ミュンヘン)
- ドイツ→オーストリア(ザルツブルグ)
- オーストリア→ドイツ
- ドイツ→中国(上海で5時間のトランジット待ち)
- 中国→日本
といった感じ。
『ちょっとビール飲みにドイツに行ってきます。』で紹介したように格安航空券(LCCではないが)での旅だったので、少々ルートが複雑。またミュンヘンに訪れたら必ずと言って良いほど確実に観光客が訪れるオーストリアのザルツブルグにも行ったので、通常の SIM だったら頻繁に切り替えが必要だ。
jetfi はクラウドSIMを搭載しており、GPSを用いて位置情報を取得し、その地域で最適なキャリアに自動的に接続すると謳う。実際に使ってみたとろ、確かに自動的に切り替えられていて便利だった。
jetfi の速度ってどんな感じ?実際に4ヶ国で使ってみた感想
日本(東京市街地〜千葉:成田国際空港)
日本国内における速度はおおかたこんな感じ。速度はキャリアの SIM の半分くらいのイメージだがネットサーフィンをするくらいの用途であれば十分。
クラウド SIM の回線もおそらく混み具合によって左右されると思うので、LTE に対応していると言っても MVNO 的な感覚で考えておけば良さそうだ。
中国(上海:浦東国際空港)
jetfi の中国(上海)における速度はこんな感じ。速度に若干の波はあるものの、基本的には下り6Mbps前後で推移している。上海と言っても浦東国際空港内でのみの速度となっているので、厳密には市街地とはちょっと違うかもしれない。
ネットサーフィンをしたりブログを書いたりする分には問題なかった。ちなみに中国では「LINE」、「Instagram」、「Facebook」、「Twitter」、そして「Google」が規制により壊滅状態。仕事で Facebook メッセンジャーや Gmail を多用しているので結構キツかった。
VPN 設定などをすれば使えるには使えるのだが、トランジットで数時間の滞在で面倒なのでせず。ちなみに行きでは LINE は使えたのだが、帰りは使えなくなっていた。
ドイツ ( ミュンヘン国際空港〜市街地 )
ミュンヘンでは、jetfi が掴んだキャリアだと 3G しか入らなかったので基本低速だった。ミュンヘンに滞在中に数回速度テストをしてみたが、おおよそ 4Mbps ~ 8Mbps くらいで推移していた印象。
まぁネットサーフィンくらいであれば問題はないが、ときどき市街地で通信が途切れたりするので注意が必要。
ちなみに『ドイツの SIM なら「T-Mobile Xtra-Triple」。通信速度や容量、チャージ方法などレビュー』で紹介している現地 SIM は常に 4G LTE が入って爆速だった。
しかし基本データ量が 250MB しかない点、SIMフリースマホが必要な点で割りと敷居が高いため、ただの旅行観光で訪れる人は jetfi でも問題ないかも。ガジェットオタクは現地でスマホと SIM 買いましょう。
オーストリア(ザルツブルグ)
ザルツブルグ感 #salzburg #austria #trip #cool #instagood #ファインダー越しの私の世界 #カメラ好きな人と繋がりたい
Tobalogさん(@toba_tobalog)が投稿した写真 –
ザルツブルグでは 4G LTE が常に入っていた。滞在は1日だけで、午前中と午後に1回ずつ測ってみた測定結果を載せている。速度は日本国内のキャリア SIM を使っている感覚でバリバリ使うことができた。
jetfi の良いところと悪いところ
良いところ
- 定額で世界中使えるのは分かりやすいし便利
- APN設定など煩わしい設定をせずに SIM が切り替わるのはラク
- バッテリーが1日中持つのは嬉しい
今回の旅は国を跨いでの移動が多かったのだが、電源を入れておくだけで自動で SIM情報を取得するので、SIMの購入やAPNの設定など面倒な手続きが要らないのが便利だった。また、バッテリーが1日中持つのでバッテリー切れの心配もなく安心。
1日500MBと海外渡航者向け Wi-Fi ルーターとして容量は大きいのも良い。しかしスマートフォン側では Wi-Fi 環境下で接続しているため、iCloud やグーグルフォト、App Store などのバックアップ設定などをオフにしておかないと、一瞬で使い切ってしまうので注意。
悪いところ
- 現地SIMを購入した方がコストパフォーマンスは高い
- 現地 SIM の方が速度が出る場合が多々あった
- ちょっと出かけるのにも重い端末を持ち歩く必要があり面倒
4ヶ国で使ってみたうち、2ヶ国で現地SIM と併用してみたが、明らかに現地 SIM の方が速度は上だった。また長期間滞在する場合などはやはり現地 SIM を契約した方が得で、特に台湾などのアジア圏では料金の差が顕著に現れる。
SIM フリースマホを所持している人で3日間以上滞在するなら、海外ポケット Wi-Fi を借りるよりも現地 SIM を購入した方が良いかもしれない。
まとめ
速度は現地 SIM を購入した方が速い場合もあるが、ヨーロッパ圏などでは jetfi を利用した方が安い場合もあり、ライトな使い方であれば海外 Wi-Fi を借りるのも良いと感じた。
またトランジットがある人や、家族連れや友人と海外に行く際などは 1台借りておいて、現地 SIM も契約するという使い分けも便利かもしれない。なお jetfi の契約はオンラインストアでのみ受付けている。
jetfi の対応国一覧
- アジア(980円のアジア向け対応国)・・・中国、香港、マカオ、日本、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、カザフスタン、モンゴル、インド、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン、ネパール、 、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタール、バーレーン、イスラエル、ヨルダン、イエメン
- ヨーロッパ・・・イギリス、アイルランド、フランス、ドイツ、スイス、オーストリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、スペイン、ポルトガル、イタリア、チェコ、ハンガリー、ギリシャ、トルコ、ロシア、ポーランド、クロアチア、アルバニア、ブルガリア、キプロス、エストニア、リトアニア、ラトビア、マルタ共和国、ルーマニア、セルビア、スロベニア、スロバキア、ウクライナ、リヒテンシュタイン、オーランド諸島、モナコ、バチカン、サンマリノ
- アフリカ・・・エジプト、ガーナ、ケニア、モロッコ、モーリシャス、ナイジェリア、チュニジア、タンザニア、南アフリカ共和国、ザンビア、アルジェリア、アンゴラ、サハラ・アラブ共和国
- アメリカ(北米、南米)・・・アメリカ合衆国(ハワイ、グアム、サイパン含む)、カナダ、メキシコ、パナマ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、プエルトリコ、グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル共和国、コスタリカ、ボリビア、エクアドル、ウルグアイ、バルバトス
- オセアニア・・・オーストラリア、ニュージーランド、フィジー