――OK Google、電気つけて。
夏頃からこの冬にかけて、国内でも知名度が高まった AI スピーカー。国内では LINE の WAVE から始まり、Google Home(グーグルホーム)、Amazon Ecoh(アマゾンエコー)と続き、オーディオメーカーも参画するなど、市民権を獲得しつつある。
部屋に設置した AI スピーカーに話しかけると、好みの音楽を再生することができるほか、「ラザニアのレシピを教えて」「今流れているのって誰の曲?」など、音声の検索にも対応する。グーグルによると、2020年には全世界で音声検索の割合が約50%になる見込みもある。これまでのようにスマホや PC を開く必要はなくなり、調べごとをするために要する時間はグッと減るだろう。
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それは調べ物に限った話ではない。AI スピーカーは、TV やライトなどの家電とリンクすることで、それら自在に操作し、スマートホームの司令塔として活用することができる。ソファに座ったまま、リモコンを探さずとも家電を操作したり、朝起きて、シャワーを浴びながら天気情報やニュースなど、知りたい情報を教えてくれるという未来が、もう来ている。
今回は、そんなちょっと先の未来「スマートホーム」を体現しているイッツコムの社員の自宅に取材に伺った。AI スピーカーはもちろんのこと、さまざまな家電がネット上で連携し、本当に未来に来てしまったかのような感覚に陥ることができる、ガジェット好きにとっては夢のような空間だった。
OK Google、電気を消して――話しかけるだけで、家のすべてができる世界
広めの 1R で一人暮らしをする、イッツコム社員の部屋。もともと家電が好きだったと話す彼は、Google Home や IoTデバイスを部屋中に設置し、いわゆる「スマートホーム」を実現しているうちの一人だ。
「スマートホーム」という概念は 1980年代から存在するが、AI や IoT(ネットとモノがつながること)デバイスを接続して音声で操作するというのは2010年代に入ってから加速した。この家に住む男性は自宅のスマートホーム化を、2015年ごろから取り組んでいる。
音楽を聴いたりアラームをセットするだけでなく、さまざまな IoT デバイスやスマートフォンを駆使し、照明のオン・オフ、鍵の代わりにスマートフォンで施錠、解錠といった操作をする。家主が帰路に着くのを GPS で察知すると、自宅の扉を開ける頃には照明や TV などがオンになり、風呂を沸かしておいてくれる。
彼はこの家で、”近未来の日常のような生活”を当たり前のように過ごしている。
部屋の司令塔の役割を担う4台の『Google Home』
この部屋の司令塔の役割を担うのが、部屋のいたるところに設置されている Google Home。本来であれば一台で事足りるのだそうだが、部屋のどこに居ても声を認識してほしいという理由から、バスルームやベッド、リビングなどに計4台の Google Home を設置している。
僕らが思う AI スピーカーの用途は「好きな歌手の音楽を流してくれる」といったものだと思うが、基本的にこの家の家主はほとんどそういった使い方はしていない。
「ねえ Google、電気つけて」、「OK Google、TV をつけて、ザッピングをして」と話しかけると、家主の意図を理解し、さまざまな家電との連携を行っている IoT デバイスへの司令塔として活躍する。他にはどんな IoT デバイスがあるのだろうか。
Google Home からの司令を各家電に振り分けるマネージャー『家電コントローラー』
照明や家電の操作は、Google Home 単体ではできない。それを可能にするのが intelligent HOMEの『家電コントローラー』という、家電のリモコンの役割を担う端末だ。Google Home から受けた司令を各家電に振り分ける、いわばマネージャーのような存在。この端末がなかったら「スマートホーム」は実現出来ないといっても過言ではない。
家電コントローラーはネットに接続することができ、IFTTT という連携サービスを使い、Google Home やスマートフォンから家電を遠隔操作できるのがポイント。多くの家電は赤外線リモコンで操作するので、エアコンや TV などが家電コントローラーで操作可能となる。
「スマートライト」だけじゃない、既存の照明をスマートライト化する「赤外線コンセント」
intelligent HOMEでもGoogle Home からの操作が可能な「スマートライト」を販売している。しかし、シーリングライトや、お気に入りの間接照明など、スマートライトの口径に合わない照明を使いたいという人も多いはず。その解決策として、この部屋ではリモコンコンセント機器を導入していた。
この製品は照明のオンオフを赤外線リモコンで操作できるというもので、トバログでも『壁スイッチがない部屋にスイッチもリモコンもない照明を取り付ける』という記事で紹介している。これを照明が接続されているコンセントに挟むことで、家電コントローラーからの司令を受け取り、オンオフの制御ができるというわけ。
ベッドサイドに置いてある Google Home mini から「ねえ Google、電気消して」というと、Google Home mini が IFTTT 経由で家電コントローラーに司令が飛び、赤外線通信によって照明を操作できるという仕組み。
音声だけじゃない――「○○のときに✕✕する」で自動化するスマートホーム
スマートホームたるゆえんは、何も音声操作にとどまらない。Google Home と家電コントローラーの連携はほんの序章。その場に家主が居なくても、アプリで場所や時間帯によるプリセットを保存しておけば、もはや自分が言葉を発することなく自動操作をしてくれるのだ。
前述した IoTデバイスは、イッツコムが展開する『intelligent HOME』を導入することで、あらかじめ決めた操作を行うことができる。
- 早く家を出たい場合に全部つけっぱなしで出ていっても家主が部屋から出たら全部消してくれる
- 帰ってきて玄関を開けたら再び家電や照明がオンになる
- この時間になったら照明をオン、この時間になったら照明をオフというのを自動化
- 子どもの帰宅にあわせて遠隔操作で解錠、施錠ができる
- 部屋に設置した IP カメラでペットの様子を確認
といったことが、このアプリ上から操作することができるのだ。
例えば「日の入りになったら徐々に照明を明るく、日の出には照明を落とす」「日の入り時刻になったら暖房と TV を付けて起床を促す」といった操作ができる。あらかじめこういった設定をしておけば、気づいたら部屋が暗くなっていたということや、朝寒くて布団から出られないといったことが減るというのがポイント。
快適に過ごせるようになる。
ほかにも、スマートフォンの GPS を利用した位置情報取得サービスや玄関のモーションセンサーと連携し、あらかじめ「玄関のモーションセンサーを通過したら『外出モード』にする」といった設定ができる。
すると、これまで「あれ、TV消したっけ?」「電気代もったいない!」と気になっていた人にとっては、属人的なミスがなくなるので安心感は高まる。それでも気になる人は、部屋に IP カメラを設置して様子を伺うこともできる。
このように、Google Home と家電コントローラーなどの音声操作だけでなく、事前にアプリ上でルールを設定しておくことで、よりスマートに日常を過ごすことができる。確認漏れで照明がつけっぱなしで電気代が高くなったり、自宅を出るときに靴を履いたあとに電気の消し忘れに気づくといったことが減るということで、よく色々な場所の照明をつけっぱなしにしてしまうズボラな僕にはピッタリだ。
音楽や照明の調整だけでは終わらせない、一歩踏み込んだスマートホーム
ここまで読んだ人は、きっと「自分も実践してみたい」と考えた人も多いと思う。ただし、新しいモノ好きで購買意欲の高いミレニアル世代が読者の8割を占めるこのブログ。「この程度であればすでに知っているし実践している」という人も少なくないはずだ。
もちろんこのスマートホームの実力はこんなものではない。賃貸でもここまでできるのか!と思わせる仕組みがあったので、ちょっと紹介しておきたい。
賃貸でも実現できるお風呂の自動化
一人暮らしを始めて、面倒になってやらなくなった家事として上位を占めるのが「お風呂に湯を張ること」。洗うのも面倒だし、部屋に帰ってきたらすぐ風呂に入りたい派の僕にとって、お湯を貯めはじめてからちょっと待つのが面倒だ。
このスマートホームの家主は「自分の代わりにボタンを押してくれるデバイス『MicroBot Push』を、風呂の操作や壁の照明に使っている。そのため、上記で紹介した IFTTT で「最寄り駅に着いたら風呂を沸かす」と設定すれば、玄関を開ける頃にはもう湯船に浸かることができる。
“人の手の代わりにボタンを押してくれる” という、手法としては随分とアナログだが、既存の機器を下手に入れ替えられない賃貸物件でも、このように「スマートホーム化」を実現できるのだ。ここに登場したデバイスを取材前から知っていたトバログも、この使い方には感動。
宅配便を受け取るために家に居なくても良い。外出時に宅配便が来ても遠隔対応
このスマートホーム、仕事中やちょっと外出しているときに宅配便が来ても、その場ですぐに対応できる。その仕組みを紹介したい。
まず、上画像のように、玄関に IP カメラを設置しておく。この IP カメラ、もちろんネットに接続していて、手持ちのスマートフォンやタブレットと連携している。
IPカメラは、人が玄関の前に立つなど、映像内になにか変化が起きると、intelligent HOME の「LINE@」からスマートフォンに通知がいくようになっている。画像は玄関に設置したカメラが反応したことを知らせるもの。
こちらがその反応があった際に反応したストリーミング動画のようす。誰が訪ねてきたのかがひと目で分かるようになっている。映像はリアルタイムでスマートフォンに配信できるほか、録音もしていてあとでダウンロードして確認することもできる。
ここまではまぁ、よくあるスマートホームのシステムの一部という感じ。
個人的に一番衝撃的だったのが、このインターホン。受話器が常に外れている状態になっていて、代わりに MicroBot Push が置いてあり、職場でも実家への帰省中でも、来客が来たらスマートフォンから応答することができるという。
例えば宅配便の配達員が、自宅不在時に来たとしよう。すると IP カメラが反応し、手持ちのスマートフォンに intelligent HOME の LINE@ から通知が入る。家主はスマートフォンから応答し、施錠を司る MicroBot Push を操作、その後スマートロックで解錠すると、配達員は玄関にお届け荷物を置き、無事対応完了という流れが成立する。
すごいのは「配達員が玄関を開けるまで、家主が在宅していると思い込んでいる」という点。ドアを開けてびっくりされることも多いのだとか。また、IP カメラで玄関、室内ともに録音しているため、ドアを開けた際に部屋が無人でも、これまでトラブルが置きたことは無いという。
マンションなどでは、部屋の前に宅配ボックスを勝手に設置することはできない。そのため、宅配ボックスが設置されていない物件でも、このように IoT を駆使して宅配をしてもらうことが可能となっている。
まとめ
「スマートホームの取材をしてみないか――」という依頼をもらったとき、正直に言うと僕は「スマートホーム」に懐疑的だった。バズワードに乗っかり、普通の生活をした方がラクなのに、わざわざ回りくどいことをしているのではないかと。
そんな予想とは裏腹に、アナログな既存の仕組みを、AI スピーカーや IoT デバイス、優秀なアプリを組み合わせて快適な空間を実現している点に感動した。リノベーションや建て替えなど莫大な初期費用をかける必要なく、賃貸でも実現しているのは、個人的にはものすごく意味がある。
これまでトバログでは『賃貸DIY』をシリーズ化してお届けしているのだが、ある程度 DIY が完了したら、さっそくトバログも実践しようと思う。最寄りの家電量販店で Google Home を買って帰ったのは言うまでもない。
イッツコムが手がける『intelligent HOME』
今回取材した部屋は、イッツコムが展開するサービス「intelligent HOME」を手がける社員の部屋だった。新しい技術や家電が大好きな家主は、オンオフ問わずに事業としても日々「IoT を駆使して快適に暮らすにはどうすればよいか」を常に考えている。
「intelligent HOME」では、これらの IoT デバイスをパッケージングしてレンタルや販売を行うほか、快適なスマートホームライフを過ごすコツなどを紹介している。気になった人は是非チェックしてみてほしい。
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