ちょうど昨日、ライカ銀座店でプレス向けの発表会があり、Leica SL2 の実機に触れられるチャンスだった。
「オートフォーカスと動画もライカの絵作りで撮ってみたいな」と思い、ここ最近気になっていた Leica SL の後継機。トバログも新製品発表会に参加してきたので、発表会レポと実機を触った感想なんかを紹介しておこう。
Leica SL2 について
Leica SL2 は、ライカが2019年に発表したフルサイズセンサー搭載のミラーレス一眼。2015年に発売となった Leica SL の後継機で、ボディ内5軸手ブレ補正や、4730万画素とより高解像度になった点が特徴だ。そして防水性能も高くなっている(IP54)。
Lマウントなのでパナソニックの LUMIX S1R/S1 やシグマの SIGMA fp とのレンズ互換性があり、他社レンズがマウントアダプターなしで使えるのも魅力的だ。もちろんマウントアダプターを噛ませば Mマウントレンズも使うことができる。
個人的には「M10最高なんだけど、やっぱり動画撮りたいし仕事で使うならオートフォーカス欲しいよなあ! Leica SL けっこう気になるな? 」と思っていた矢先の Leica SL2 発表だったので、かなりタイムリーだった。ただし価格は81万円(税別)と、普通に生きていたら捻出するのが難しい価格。まあ夢を見るのはタダなので、こうして記事を書いている。
今回の発表会のようす
せっかく発表会に参加できたので、まずは発表会のようすから。ライカカメラAGの社主であるアンドレアス・カウフマン氏がライカの歴史などについて語る。
余談だが、彼は同族経営により経営状況が傾いていたライカ社を救った人。今僕らがライカのデジカメで写真を撮れるのは、彼のおかげといっても過言ではない。
ライカの設計思想は「本質であるべき(Das Wesentliche)」。写真機として「ライカが考える本質」を求めて設計をしてきたとのこと。
また「ユニークさ」も重要視していて、105年前に「ウルライカ(バルナックライカの試作機)」を開発してから、『Leica M3』『Leica T』や、液晶ディスプレイを備えていない『Leica M10-D』など、ユニークながらも写真機としての本質を追い求めることで「ライカらしいカメラ」ができあがっていくと話していた。
Leica SL2 の登場
ここからはライカのグローバルプロダクトマネージメントディレクターのステファン・ダニエル氏が Leica SL2 について紹介。フォトヨドバシのインタビュー記事などで一方的に知っていたのでちょっと感動。
ダニエル氏「SL2 という名称はあくまでデジタル化したなかでの2で、Leicaflex から考えると実質 Leica SL4 です」と紹介していた。
できるだけミニマルなデザインに仕上げつつ、撮影に集中できるようにしたとしている。
こんな感じで Leica SL2 について語っていた。なかでもボディ内5軸手ブレ補正の性能は高く、5.5段階分の補正が可能としている。まあ実際にはもう発表されているカメラなので、会場の反応はわりと薄め。
写真家のスティーブ・マッカリー氏も来日。Leica SL2 について語る
今回はゲストとして写真家のスティーブ・マッカリー氏も来日。中国やインドで Leica SL2 のプロトタイプを使用して撮影をしたそうで、「これまで使ってきたカメラのなかで “ベスト” な性能だ」としていた。
Leica SL2 の機能性に対して、(暗所撮影による)ノイズにも強く、シャッター音が小さい点も嬉しいと話した。防滴性能や堅牢性から「本来はスタジオで使うようなスペックのカメラながら、気軽に野外に持ち出して撮影できるのも魅力的だ」とした。
「なぜライカを選ぶのか? 」という記者の問いに対して、「私生活でも仕事でも私はこれまで最高だと思える道具を選び続けてきた。これからも最高の道具を選んでいくと思う。だから私はライカを選ぶ」と答え、会場一体が妙な納得感に包まれた。
Leica SL2が前モデルと変わったところを比較
- 解像度:2400万画素→4730万画素
- 防滴性能:IP54でより雨に強く
- 手ブレ補正:ボディ内5軸手ブレ補正により5.5段階分の補正が可能
- 動画モード:シネマ4Kの約60fpsなどに対応
- ボタンが Leica Q2 や Leica M10 と同じデザインになりシンプルに
Leica SL からの変更点はいくつもあるが、個人的に良いなと思ったのはこの辺。前モデルが2015年10月発売ということもあり、機能がてんこ盛りですごい。ライカは製品のアップデートスパンは他社と比較して長めだけれど、機能の出し惜しみとかなくて「その時のトレンドで最高のプロダクトにします」感があって良い。
とくに解像度の向上と手ブレ補正に関しては Leica M シリーズにも搭載されていないので、M型ユーザーでも使い分けができそうだと感じる。もちろん Mマウントレンズはアダプターを噛ませば使えるので、これはアツい。
今回は駆け足で短い時間で少し触れただけだった。詳しくはデジカメWatchの記事が詳しく比較レビューをしているのでそちらをどうぞ。
また EVF の画質や解像度が前モデルから格段に向上していて、モヤがかった低コントラストの EVF ではなく、しっかりと見たままの映像が撮影できる点も良い。576万ドット。
ボタンの位置は Leica M10 と同じなので、基本的な操作性はほぼ同じ。シーンによって M10 と SL2 を使い分けたいという人には嬉しい。
カードスロットはダブルSDカードスロット。またインターフェイスには USB Type-C が備わっていて、充電や給電、テザー撮影が可能。HDMI 端子も備わっているので、変換アダプターなしでディスプレイとか繋げるのも嬉しい。
ひと目で設定が分かるディスプレイも Leica SL から継承。でも実際に使ったことはないので、どのくらい便利なのかは不明。
Mマウントアダプターを噛ませば Leica SL2 の5軸手ブレ補正でスチール撮影もできる。色々と試写させてもらったのだけど、本体の設定が悪かったのか、持参したSDカードにデータが残っていなかったのが悔やまれる。
ちなみに純正のアダプターなら、6bit コードからExif情報が保存できる。これけっこう嬉しい。
――
実際に触れた感想としては、持った感じはほとんど Leica SL と変わらないサイズ感。しかしファインダーを覗けばリアルに見ているかのような解像度で、かつ手ブレを感じないのも嬉しい。AFもそれなりに速く、きちんとピントが合う印象だった。
ただ僕自身は Leica SL は店頭で触れるくらいしか使ったことがないので、どこまで進化しているのかは、僕の口から語ることは難しいと感じる。
Lマウントアライアンス! シグマの『SIGMA 45mm F2.8 DG DN』と組合わあせてコンパクトに使える!
個人的に最高だと感じたのは、Lマウントなので SIGMA 45mm F2.8 DG DN もそのまま装着できる点。ライカ純正の Lマウントにはこんなにコンパクトなレンズはないので、普段持ち歩くお散歩カメラとしても収まりが良い。
もちろん AF も高速だし、手ブレ補正が強いので F2.8 でも十分に撮影ができた。データが手元にないので作例の掲載は難しいが、1/4 秒でもブレずに撮影ができた。
手ブレ補正について
すでに愛用しているというライカの社員に聞いたところ「1秒でもブレは感じません。なんなら1分間の長時間露光も手持ちで撮影できますよ」とのこと。
この辺は僕が試したわけではないのでなんとも言えないが、SL2 は手ブレに合わせて真逆の方向にセンサーを動かすことで、手ブレを打ち消す手ブレ機構を搭載している。なのでしっかりグリップしていれば、ある程度の手ブレは処理してくれるっぽい。うう、実際に試したい。
以下は個人的に知りたいことをライカの人に聞いた質問メモ。
―― Leica Q2 と同じセンサーを搭載してたりします?
いえ、解像度は同じですが、Leica Q2 とはまったく異なるセンサーを搭載しています。
――SIGMAの『SIGMA 45mm F2.8 DG DN』並みに小さいレンズはライカから発売しないんですか?
ほぼないと思います。Lマウントレンズは修理などの関係から基本的に鏡筒のサイズ感を統一化しています。またコンパクトなレンズはすでに TLレンズ(Leica TL や Leica CL 向けの APS-C規格のレンズ)があるので、そちらを推奨します。なのでライカ Lマウントでコンパクトなレンズの発売は考えにくいですね。
――Leica TL がすごく好きで後継機待ってるんですけど……。
とくに新製品などの予定はありませんね。
まとめ
こんな感じでイベント参加の機会に恵まれて Leica SL2 を試すことができた。SDカードにデータが残っていないので作例をお見せすることができないのは悔やまれるが、個人的には気になる1台だったので触れることができて良かった。
Leica M10 を普段使っていると、どうしてもこの気持ち良い絵のままでオートフォーカスあったら便利だなあとか、動画撮りたいなあと思うことがある。SL2 はそんな悩みを解決してくれるカメラであることは間違いない。
価格は81万円(税別) で発売日は11月23日。腰が抜ける価格ではあるが、撮れる絵は間違いなく良いモノになるはず。もっといっぱい稼いでサクッと買える人生を目指したい。