ミニマルでコンパクト、だけど高音質なBang&Olufsen(バングアンドオルフセン)のBluetoothスピーカーを買いました。
これまでは同社の『Beoplay P2』を愛用していたのだけど、もう少し厚みのある高音質でパワフルなBluetoothスピーカーが欲しいと思っていた。試しにBeosound A1 2nd Genを試聴したところ、そのミニマルな見た目からは想像もできない「良い音」を奏でてくれたため、思い切って購入。レビューというほどではないがファーストインプレッションをしていこう。
2世代目になった『Beosound A1 2nd Gen』について
こちらが『Beosound A1 2nd Gen』。さらりとした手触りと、ころりとした石のような形状のBluetoothスピーカーだ。筐体はアルミニウムのグリルで覆われており、ミニマルな外観がとにかく好み。価格は3万4,990円とサイズの割にやや高めだが、家電量販店やアマゾンだともう少し安く買える。
僕が選んだカラーはナチュラル系のグレイミストというもので、他にもブラックやグリーン、ピンクなどカラーは4色展開。部屋や持ち物のスタイルに合わせて選びたい。
スピーカーとしての機能性
スピーカーとしては3.5インチ ウーファー、3/5インチ ツイーターを搭載した無指向性モノラルで、同じモデルが2台あればステレオペアリングも楽しめる。Bluetooth 5.1 での接続で、コーデックは AAC、aptX Adaptive に対応するそうだが、個人的にはサブスクサービスで聴いているためそこまで気にはしていない。
見た目のわりにずっしり感があり、重さは558g。前モデルとの主な違いとして防塵防滴仕様(IP67)となったほか、バッテリーライフが最大18時間となった。また高さが2mm低くなり、重さも42g軽量化されている。室内だけでなく屋外や浴室での使用も楽しめるようになった。より詳しいスペックは以下。
スペック
周波数帯域 | 55~20,000 Hz |
推奨部屋面積 | 5~30 m² |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
スピーカー構成 | 3.5インチ ウーファー x 1 3/5インチ ツイーター x 1 |
アンプ | ウーファーおよびツイーター用 30W クラスD × 2 |
指向性 | 360度 |
ワイヤレスコーデック | AAC、aptX Adaptive |
バッテリー | 3,000 mAh(最大18時間) |
サイズ | 133 x 133 x 46 |
重量 | 558g |
防塵・防滴等級 | IP67 |
アプリで細かい設定が可能
スピーカー単体だと再生停止や音量調節など最低限の操作しかできないが、アプリと組み合わせることでイコライザの調整や細かい調整ができる。またアップデートもアプリから行える。
基本的に1つのアプリで複数のデバイスを管理するので、同社製品を複数所持していると、まるでギャラリーのように一覧表示してくれる。なかなかに所有欲が満たされる点も嬉しい。こうして並べてみると、改めてバングアンドオルフセンのプロダクトにはデザインの統一性が感じられる。
外観の仕様とデザイン
個人的に惹かれたのはやはりこのミニマルな外観だ。表面にはBeoplay P2 や前モデルの A1 1st Genを踏襲するブラスト加工のアルミニウムグリルを用いており、フラットな形状をしている(バングアンドオルフセンはアルミニウムの加工でも有名)。この形状は見た目だけのためではなく、均一で上質なサウンドを響かせられるような工夫でもあるようだ。
背面にはさらさらとしたポリマー素材を採用。衝撃にも強いだけでなく、テーブルに置いた際に低音でスピーカーが動くのを防ぐためだと思われる。
よりミニマルに仕上げるために、ボタン類は基本的に埋め込みタイプ。ただし内側が物理ボタンなので物理的なフィードバックがある。以前所有していたBeoplay P2は表面のグリルをタップすると再生 / 停止になる仕様で誤操作もあったが、Beosound A1 に関してその不便はなさそうだ。
本革製のストラップには防水のレザーを用いており、木の枝やコートフックに引っ掛けて使うことを想定している。1950年代のバングアンドオルフセン製品に革紐を用いた製品があり、そこからインスピレーションを得たそうだ。僕が所有していたBeoplay P2にも革製ストラップが備わっていて、旅行時はもちろん日常使いでも「引っ掛けられる」のはものすごく便利だった。
余談だが以前フィンランドデザイン展に訪れた際、北欧デザインは広大な自然と密接に結びついている印象を受けた。デンマークの老舗メーカーのバングアンドオルフセンも革素材や木材などをよく用いるイメージがあるが、Beosound A1 にもその意匠を感じる。
充電用のポートは USB Type-C を採用。5V – 3A で2.75時間でフル充電ができるとのこと。余談だがバングアンドオルフセンの製品は、比較的早い段階から USB Type-C を採用しており、ガジェット好きとしては好感が持てる。
デンマークの有名デザイナー Cecilie Manz氏がデザイン
Beosound A1のデザインは、デンマークのインダストリアルデザイナーであるセシリー・マンツ(Cecilie Manz)氏が手掛けており、彼女が傾倒するモダンミニマリズムを随所に感じる。
セシリー・マンツ氏はインタビューに対して「平たい円筒形という形状は、開発プロセスのごく早い段階から決まっていました。手に触れることが多い製品であることから、滑らかで丸みを帯びたフォルムにしたいと考えていました」と話している。日本に数え切れないほど訪れているという彼女は、この形状に親しみを込めて『BENTO BOX(つまり弁当箱)』と呼んでいるとのこと。
余談だが彼女は2012年から同社で主にBluetoothスピーカーのデザインを手掛けている。それまでバングアンドオルフセンはアルミニウム&ブラックの雰囲気が強かったが、彼女が加わったことでミニマルでユニセックスなカラーやデザインのプロダクトが生まれたそうだ。以前紹介したBeoplay P2も彼女がデザインしたプロダクトなので、結果的にこのコラボレーションは個人的にはものすごく嬉しい。
https://www.phileweb.com/interview/article/201607/08/382.html
デザインと音質を両立する「B&O PLAY」のものづくりとは?企画担当&セシリエ・マンツ氏にインタビュー
https://www.bang-olufsen.com/ja/jp/story/interview-with-cecilie-manz
インタビュー Cecilie Manz
『Beosound A1』の音質について
- 高い解像感で厚みのある音がしっかり楽しめる
- 間近で聴くよりも2~3m離れて聴くのが良さそう
- ボリュームはかなりパワフルなので普段は40%程度で使う感じ
正直なところ僕はオーディオ製品にはあまり詳しくはないので(スピーカーのレビューなのに)割愛したいところではあるが、一応綴っておこう。まず電源を入れて驚いたのが、ポータブルBluetoothとは思えないほど「厚みのある音」で音楽を楽しめる。
今どきはMacBookやiPadでもきれいなステレオで聴けるが、Beosound A1 が奏でる音は空気ごと揺れるような感覚で、低音域を含めて音圧や音域の厚みを感じる。個人的に驚いたのが「間近で聴くよりもちょっと離れて聴いたほうがクリアに聴こえる」点だ。
バングアンドオルフセンのトーンマイスター Geoff Martin 氏によると「こうしたスピーカーは、スタジオではなく自宅など生活空間で聴くもの。部屋のどこにいてもまんべんなく聴こえる音を目指している」とのこと。スピーカーにもマイクと同じように指向性があり、最適な音が出せる距離が決まっているらしい。
Beosound A1 はコンパクトながら部屋全体に音を届けるようにチューニングされているため、少し離れたほうが解像感のある音に聴こえるのだろう。とくに女性ボーカル主体の曲やピアノや弦楽器など、高音寄りの音がスムーズに抜けている感覚で、これは癖になる心地よさだった。
一方で低音に関してはそこまで強い音は出ない印象。ウーファーを搭載しているため空気の振動は感じるし、曲によっては「おお、空気が響く……! 」と感じることもあるが、低音を求めるのならもう少し大きめのスピーカーを選んだほうが良さそうだ。ただしイコライザーである程度は調整できるので、気になる人は店頭でチェックしてみてほしい。
なおレビューはYouTubeでもしている。音については動画のほうが分かりやすいかもしれない。
まとめ
というわけで今回はバングアンドオルフセンの『Beosound A1 2nd Gen』について紹介してみた。最近はガジェットのスペックや競合優位性よりも「どういう経緯を経て作られたモノなのか? 」や「プロダクトデザインの意図」に強い興味を惹かれる。もちろん価格が高いだけのブランドではなく、音質や使っている素材の質はもちろん高い。コンパクトながら所有する喜びも得られるBluetoothスピーカーだと感じた。
これからちょっと遅めのGWで2週間ほど車で北海道旅行に出かけるので、滞在先のホテルや船のバルコニーで、のんびりと音楽を楽しみたい。