欲しい理由があって買ったモノも、実際に手に入れてみると「ちょっと違った」なんてことは誰にでもあるはず。
トバログではこれまでさまざまなモノやガジェットをレビューしてきたけれど、時代の流れや自分のスタイルに合わないというモノも少なくない。始めから終わりまでレビューするために、不定期連載として「僕が手放したモノ」をスタートした。
第4回となる今回は『RICOH GR(リコー GR)』。数あるリコーの GR シリーズのなかでも、APS-C センサーを搭載したコンパクトデジカメの初代モデルだ。きれいに写るし快適だったが、徐々に持ち歩かなくなり、手放してしまった。
■好きだった点
- ポケットに入るほどコンパクトながら APS-C センサー搭載
- 起動が早く思った瞬間に撮影できる
- 無骨でシンプルなデザインが所有欲をくすぐる
■残念だった点
- 他のカメラもほぼ必ず持ち歩くのでいつの間にか持ち歩かなくなった
- 28mm という画角が苦手で僕にとっては難しかった
- Wi-Fi が備わってないので撮ってすぐ共有ができない
『RICOH GR』について
この記事を開いた時点で知っている人も多いと思うが、RICOH GR はリコーが2013年に発売した APS-C センサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ。フルサイズ換算で28mm 相当の F2.8 レンズを搭載しており、コンパクトながら有効画素数1620万画素と高精細な絵が撮れる。
なにより従来からの GR シリーズを踏襲する形状で、携帯性や操作性、機動性の高さからも、「スナップシューター」として根強い人気を誇っているカメラだ。「コンデジといえばズーム」という時代でも、明るい単焦点レンズを搭載している点も一貫していて面白い。
(APS-C デジタルとして)初代の発売から約6年が経過した現在は『RICOH GR Ⅲ』が発売となり、僕が持っていた初代は2万円台から買えるほど手頃なカメラとなっている。
なぜ『RICOH GR』を買ったのか
詳しくは「ずっと憧れていた『リコー GR』を手に入れた。今さらながら買った理由と簡単なレビュー」でも綴っているのだけれど、元々は高校時代から GR シリーズ(当時は「GRデジタルIII」)に憧れていて、いつか手に入れたいと思っていたから。
昔から雑誌やウェブのカバンの中身企画が好きで、よく読み漁っていた。スマホが普及する前なのでコンデジを持ち歩く人も多く、クールな人たちはカバンの中に GR を忍ばせている人が多かった印象。そのときには光学ズームの利便性と価格に負けて CX4 を購入したのだが、やはり一回は GR を所持しておきたいということで GR を手に入れたというわけ。
また「ちょっと出かける際に持ち歩くカメラ要員」として、大きなミラーレス一眼と iPhone の間を埋める存在としての活躍も期待していた。
『RICOH GR』を手放した理由
- サッと撮るならスマホ、ちゃんと撮るならミラーレス一眼
- 28mm という焦点距離が難しかった
- Wi-Fi が備わってないので撮ってすぐ共有ができない
手放した理由は上記の3つ。まあ手放した理由は GR が悪いのではなく、僕自身が上手く使いこなせなかったというのが大きい。それぞれの理由について紹介していこう。
手放した理由①:サッと撮るならスマホ、ちゃんと撮るならミラーレス一眼
もっとも大きな理由は「サッと撮るならスマホ、ちゃんと撮るならミラーレス一眼」になってしまったから。
例えばサッと撮って、すぐにシェアやメモに保存などのアクションに移ることができるなど、写真自体のクオリティなどをそこまで意識しないシーンでは iPhone が便利。また旅行やフォトウォークなどの日には、ミラーレス一眼に 55mm F1.8 の明るいレンズを取り付けて撮影した方が、よくボケるしきれいに撮れるので楽しいという感じ。
GR を購入した際の言い訳として「ミラーレス一眼とスマホの間を埋める存在」としての使い方を期待していたが、実際のところ用途が中途半端になってしまい、結果として持ち歩かなくなってしまった。
手放した理由②:28mm という焦点距離が難しかった
そして次の理由として、28mm 単焦点は扱い方が難しかったと感じたところ。何気ない街の風景やカフェの店内を写真に収めるのであれば、この広角寄りの焦点距離は便利だと思う。しかし「カメラを構えて撮る」となると、(僕のような素人は)どうしても標準域のより明るいレンズが欲しくなる。
GR は APS-C センサーとはいえ 28mm で F2.8 なので、そこまでボケ味を楽しむレンズではない。2~5m ほど離れたところをサッとスナップするのに適しているので、例えば『Summaron M28mm F5.6』といったレンズでスナップするような人には最適なカメラのだろう。
また iPhone のカメラも、フルサイズ換算においての焦点距離的には近い。なので使い分けが難しく、サッと撮りたいときには iPhone で撮ってしまうことも多かった。一応 35mm 相当、47mm 相当のデジタルクロップ機能も備わってはいるものの、実際のところはそこまで使わなかった。
手放した理由③:Wi-Fi が備わってないので撮ってすぐ共有ができない
また初代GR には Wi-Fi が備わっていないため、撮ってすぐにスマホに共有ができないという点も地味に大きい。「そんなの Eye-fi(Wi-Fi接続できるSDカード)使えばいいじゃない」「スマホ用のカードリーダーを使えば? 」という話になりそうだが、やはり思ったときにすぐ転送できる Wi-Fi は便利。
意識していれば上記のような機材を使って頑張ってシェアできるが、カフェに入ったときに撮った写真をすぐ転送となると、意外と精神的なハードルが高いように感じた。
まあこの点については GR Ⅱ 以降で解消されていると思うので、初代ユーザーのみが感じた弊害かと思うが。
まとめ:広角や望遠、マクロなど色々な機材を使い倒した先に RICOH GR の面白さがありそう
上記のような理由から、僕には使いこなせなかった GR。しかしほかの GR の持ち主を見ていると、さまざまなボディや焦点距離を使った挙げ句に「普段持ち歩く用」として使っている人が多い印象だ。
さまざまな機材を使い込んだからこそ「GR のコンパクトさ」「コンセプト」「使い勝手」がハマるのだと思う。そして iPhone ではなく「カメラで撮る」という楽しさも、GR にはあるはず。
僕もまだまだ素人だし、カメラの歴も浅い。もっと色々な機材を試してから「やっぱりなんだかんだ GR が優秀」という域に達してみたい(あと何年かかるのだろうか)。
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