10万円以下で F1.8 の 21mm 広角レンズが手に入る。
Mマウントにおいて21mmという焦点距離は人気が高く、4万円ほどで買えるフォクトレンダーの COLOR SKOPAR から、100万円近いライカのズミルックスまで幅広くラインナップする。
さすがにこの広角レンズに100万円は出せないが、フォクトレンダーの『ULTRON 21mm F1.8 Aspherical(ウルトロン)』がそれに迫るスペックで、なんと10万円以下で買える。
今トバログで連載中の『カメラと旅と、メルボルン。』の写真をしっかりと撮りたいと思い、僕も大口径のこのレンズを購入したので、作例やこのレンズを買った理由と共に記事で紹介しておきたい。開放からシャープで使いやすいレンズだ。
――
関連記事:広角をポケットに入れて持ち歩く。Leica M10 と『フォクトレンダー COLOR SKOPAR 21mm F4P』で撮った作例
■フォクトレンダー ULTRON 21mm F1.8 Aspherical
発売日 | 2012年 |
---|---|
焦点距離 | 21mm |
絞り値 | f/1.8~f/22 |
撮影距離 | 0.5m~無限遠(距離計連動は0.7m) |
画角 | 91° |
レンズ構成 | 11群13枚 |
フィルター経 | 58mm |
質量 | 412g |
希望小売価格 | 11万8,000円 |
フォクトレンダー『ULTRON(ウルトロン) 21mm F1.8 Aspherical』とは
『ULTRON(ウルトロン) 21mm F1.8 Aspherical』は、2012年にコシナがフォクトレンダーブランドで発売した広角レンズ。ライカMマウント互換の VM マウントを採用し、焦点距離21mmでF1.8 と大口径な点が特徴だ。
レンズ構成は11群13枚で、大口径ながら収差を排除する作り。非球面レンズを採用し開放からシャープな結像が得られるという。絞り羽根は10枚。重さは412g と(同社の21mmレンズラインナップから見ると)やや重たいが、F1.8 という口径を考えると軽量の部類。
希望小売価格は11万8,000円だが、記事執筆時点での実勢価格は8〜9万円ほど。中古だと7万円前後でも手に入るので、このスペックを考えるとかなりお買い得なレンズだと思う。
数あるレンズの中から『ULTRON(ウルトロン) 21mm F1.8 Aspherical』を選んだ理由
- 『COLOR SKOPAR 21mm F4P』を使ったうえでもっと明るい広角が欲しくなった
- 実際に触れたときに開放のシャープさに驚いた
- 描写が安定してるうえに明るい
- 中古で7万円前後とスペックの割に安価
理由はざっとこんな感じ。これまで『COLOR SKOPAR 21mm F4P』を愛用していて、コンパクトな点は良いが F4〜と暗い点で使えるシーンが限られていた(周辺減光も強いし暗いので室内を広く写したい用途には向かない)。
ULTRON 21mm F1.8 Aspherical は412g とやや重たいが、僕の場合は趣味で「このレンズで撮れるシーンだけ撮る」というよりも、とにかく「ブログのために良いシーンを撮りたい」という用途が強い。なので機動性よりも、明るいレンズを選びたかったというのも理由の一つ。
またこのレンズに至るまでに、『エルマリート M21mm F2.8(ASPH. ではない1世代前モデル)』や『ZEISS Biogon T* 2,8/21 ZM』も実際に触れて検討した。エルマリートはライカ純正ではあるものの、古いレンズなのでぼんやりと安定感がない。オールドが好きなら良いが、シャープさに欠ける印象だった。
現行のエルマリート M21mm F2.8 ASPH. も気にはなったが、30万円を超える価格なので、出番の少ない広角レンズにはそこまで予算を割けない。
ZEISS Biogon T* 2,8/21 ZM はコンパクトで F2.8 と安定した性能で、周辺減光も少なく使い勝手は良さそうだった。ただ ULTRON 21mm F1.8 Aspherical の方がシャープで、価格も安価だったので僕はこのレンズを選んでいる。
『ULTRON(ウルトロン) 21mm F1.8 Aspherical』の作例
ここからは実際に僕が撮った写真を作例として紹介しておきたい。写真は決して上手いわけではないけれど、まだまだ作例が少ないこのレンズにおいては「こんな感じか」と参考にしてもらえるはず。
F1.8 なので 21mm の広角でも背景ボケが楽しめる
まずは ULTRON 21mm F1.8 Aspherical で F1.8 の開放で撮った作例ところから。ピント面の質感も保たれており、開放からシャープだ。
広角ということもあり周辺減光はかなり見られるが、Leica M10 においてはマゼンタ被りは見られなかった(M10 だからこそ補正されている可能性もあるが)。
驚くのは広角ながら歪曲収差がほとんど感じられないこと。画像2枚目は上部に水平線を持ってきたが、ほとんど歪曲していないことが分かる。
[twentytwenty] [/twentytwenty]
「周辺減光がちょっと気になる! 」という人は、Lightroom のレンズ補正である程度の補正が可能。画像中央のバーを左右に動かすと、どれくらい補正が効いているかが確認できる。
最短焦点距離 + F1.8 で撮った作例
なお最短焦点距離の50cm で F1.8 で撮るとこんな感じ。広角なので背景ボケはそこまで大きくはないものの、ピント面があまりにもシャープなので、まるで3Dのように浮き上がっているように感じる。
画像3枚目のピント面をトリミングしてみる。ボディの Leica M10 は2400万画素と決して高画素カメラではないものの、ここまで解像しているのは凄まじい。わずか74キロバイトの情報量ではないと思わせてくれる。
絞ると気持ちの良い広角写真に仕上がる
先日『カメラと旅と、メルボルン。』でオーストラリアに訪れた際に撮った写真。青空と景色というシーンで、自分なりに Lightroom を用いて色味を加工している。明るいシーンなので F5.6~F8 で撮影。
柔らかい色味ながら、歪曲収差もほぼなく解像度が高いのでカリッとした写真に仕上がった。これはフォクトレンダーのレンズ全般にいえるかもしれないが、撮って出しだとコントラストが強すぎる傾向にあり、そのままだとキツい印象になりやすい。やや彩度を落とした方がすっきりとする。
朝焼けや夕焼けの暗いシーンでも手持ちで問題なし
朝焼けを撮ったシーン。朝焼けでまだ薄暗い地上の景色を、時速40kmで飛ぶ気球から撮影した。暗い地上を動きながら撮影するためけっこう難しかったが、ULTRON 21mm F1.8 Aspherical は明るいので、ISOを上げすぎずに撮影できた。
順光には強いが、逆光耐性はそこまで高くないので Lightroom の現像でカバー。
夜でもしっかり構えれば問題なく使える
ULTRON 21mm F1.8 Aspherical が面白いのは、21mm という広角にもかかわらず F1.8 と明るい点。夜間でも街なかならしっかりと使えるレンズだ。
手ブレ補正のない Leica M10 で撮っても 1/30秒程度なら手ブレを感じないので、しっかりと構えれば低感度でもしっかり撮れる。
人物を撮る
三脚をセットし、タイマーで自撮りしてみた。広角なので背景もしっかりと入れて人物を撮ることができるのが嬉しい。旅先のカメラバッグに忍ばせておくのが良い感じ。
モノクロームで切り取っても楽しい
コントラストが高くディティールの質感までしっかりと拾えるレンズなので、こんなふうにモノクロームで切り取っても面白い。写真は Leica M10 のモノクロ設定で切り取ってみた。
まとめ
こんな感じで ULTRON 21mm F1.8 Asphericalの作例をつらつらと紹介してみた。21mm という焦点距離は、ライカ含め各社がいくつかラインナップしているため、けっこうレンズ選びに迷う。
ULTRON 21mm F1.8 Aspherical は、Mマウントレンズの中ではそれなりに大きめではあるが、価格と性能を考えればベストと言っても良いほどのレンズだと思う。
実勢価格8万円程度でズミルックスに迫るスペックを持つ ULTRON 21mm F1.8 Aspherical は、使っていてとても気持ちの良いレンズだと感じた。
トバログでは僕が買ったフォクトレンダーのレンズを、作例とともにレビューしている。良かったらぜひチェックしてみてほしい。
関連記事
▷広角をポケットに入れて持ち歩く。Leica M10 と『フォクトレンダー COLOR SKOPAR 21mm F4P』で撮った作例
▷12mmが見る世界。『フォクトレンダー ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II』の作例とレビュー