昨年の秋に購入し、旅先でのスナップに使っているフォクトレンダーのVMマウント用の中望遠レンズ『Heliar(ヘリアー)classic 75mm f1.8』。
これまで『しとしと雨のチェコ、プラハ。カメラを持って旧市街地ぶらぶら歩いてみる』などいくつかの記事内の写真では使っているが、単体の記事としては紹介したことがなかった。
手に入れやすい安価なMマウント中望遠レンズにも関わらず、そんなに記事があるわけではないのでトバログでも簡単に紹介しておきたい。
■Heliar(ヘリアー)classic 75mm f1.8
発売日 | 2010年9月 |
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焦点距離 | 75mm |
絞り値 | f/1.8~f/16 |
撮影距離 | 0.9m~無限遠 |
画角 | 33.2° |
レンズ構成 | 3群6枚 |
フィルター経 | 52mm |
質量 | 427g |
『Heliar(ヘリアー)classic 75mm f1.8』について
『Heliar(ヘリアー)classic 75mm f1.8』について簡単に紹介すると、このレンズはコシナがフォクトレンダーブランドで展開する焦点距離が75mmのVMマウント中望遠レンズ。コンパクトながら開放 F1.8 と明るく、望遠レンズを使わずに背景をボカすシーンで使えるレンズだ。
2010年発売と比較的新しいレンズだが、「classic」を冠するとおり3群6枚とレガシーなレンズ構成を踏襲しているそうだ。とはいえ僕は光学系が詳しくないのでこの記事では割愛。
このレンズについてはフォトヨドバシもデジカメWatch にもちゃんとした記事がないので、詳しく知りたい人は公式ページをチェックしてみてほしい。
実際に使っていると、開放だと柔らかな描写が印象的だが、数段絞ると空気感ごと切り取るような描写となる。撮って出しなのにハイキーでもアンダーめでも映画のワンシーンのような絵になる楽しいレンズだ。ただし背景のクセは強め。
定価は7万5,000円だが、実勢価格はだいたい6万5,000円〜7万円ほど。中古なら5~6万円で買える。生産終了品なので気になる人は早めに手元に置いておきたい。
【作例】Leica M10 と『Heliar classic 75mm f1.8』を合わせて撮り歩いた写真たち
ここからは実際に僕が撮りためた写真を紹介していこう。Heliar classic 75mm f1.8 はMマウントの中望遠の最初の1本として手に入れやすい価格帯と思うが、意外にも作例は少なく購入時の判断に困った。
僕は写真が上手いわけではないが、「このレンズが気になっていた」という人のためにも、簡単にではあるが作例を紹介していきたい。なお作例はRAWで撮影したものにフィルターをかけずに現像している。
ポートレートとか人物撮影の作例
チェコで撮影した青年。背景のボケが独特だけれど、それ以上にこのシネカメラで撮影したような色味に仕上がるのが楽しい。VSCO などのフィルターをかけずにRAWで撮ってJPEGにしている。ストレンジャー・シングスの世界のよう。
Leica M10 のセンサーが醸し出す色味も独特なモノだけれど、たとえば Summicron で撮影してもこの雰囲気は出せないのだから、2010年代に発売したとは思えないくらい Heliar classic 75mm f1.8 は個性的なレンズ。
この辺の写真はおそらく開放で撮影しているかと思うが、全体的に淡くふわりとした印象(ピント面がかなり薄いので若干合っていないかも)。
ボケ味が独特なのでポートレート向きなレンズというわけではないかもしれないが、75mm という焦点距離は、人にカメラを意識させずに自然な雰囲気で切り取れると感じる。
しっかりと絞って撮影すると同じレンズとは思えないくらい立体的な描写をする。まあこれはどんなレンズにも言えることかもしれないが、Heliar classic 75mm f1.8 はそれが顕著で分かりやすいと思う。
これ1本だけ持って街をスナップしたときの作例
427g とやや重めのレンズだけれど、ちょっと持ち歩いてスナップを撮るなんてときにも楽しいカメラ。柔らかいながらもしっかりとピント面が浮き出る感じがけっこう好き。また75mm という焦点距離は、50mm よりも自然に風景を切り取れるレンズかもしれない。
圧縮効果というほどでもないけれど、こういう風景においては望遠っぽい楽しみ方もできる。それにしても艷のある良い色だなあ。
チェコの街並みを撮った写真たち。前から色々なところで言っているとは思うけれど、湿度の関係なのか街全体の雰囲気なのか、チェコで撮影した写真の色合いがものすごく良い。
モノを撮ってみる
最短焦点距離は 90cm と寄るに寄れないレンズではある。この写真は最短焦点距離で撮影しているが、座ったままではなく席を立って撮影した。35mm の Summicron などと比較すると、テーブルフォトでも使えるくらいには寄れるんじゃないかとは思う。
物撮りとまではいかないが、こうして日常に溶けこんでいるモノにフォーカスするのには良いレンズ。F2.8 くらいまで絞ればディテールもはっきりとするので、まるで目の前にモノ自体があるかのような雰囲気に仕上がる。
とろけるようなボケとは言えないかもしれないが、しっかりと被写体が浮き立つような気がする。ガラス細工のように近づきにくいモノでもここまで引き寄せて撮れるのが良い。
クセが強いボケ味
背景にイルミネーションを置き、開放で撮影した一枚。点光源が不規則な玉ボケで暴れているけれど、これはこれで面白いなあとは思う(僕はほとんどポートレートは撮らないので気にならないが)。
端っこのひしゃけた玉ボケは、まるでアナモフィックレンズで撮影した映画のワンシーンのようだ。
F5.6 くらいまで絞ると暴れまわっていた玉ボケが多角形になる。こういったボケ具合は好き嫌いが分かれるのだろうと思うけれど、「オールドレンズで変わったボケ味を楽しみたい! 」という人には楽しいかも。
撮って出しでこの雰囲気。ピント面もやや滲む感じがあるし、よくみるとバスケットコートにパープルフリンジが起きているが、デジタルカメラの撮って出しでこの色味は面白い。
まとめ
簡単にではあるが、『Heliar classic 75mm f1.8』について紹介してみた。これまでMマウントレンズをいくつか使っているけれど、個人的にはこのレンズで表現できる絵はけっこう好み。
この記事を読んでもっと作例が見たい人は、以下にこのレンズで撮った写真を掲載した記事を貼ってみた。すべてこのレンズで撮影というわけではないが、参考になれば幸いだ。
▷しとしと雨のチェコ、プラハ。カメラを持って旧市街地ぶらぶら歩いてみる
▷チェコのものづくり。伝統を受け継ぐ藍染め工房と、新たな風を吹き込む孫娘の話|旅、チェコ。
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