先日「完全ワイヤレスな『左右独立型イヤホン』がすごく気になる。いくつか試聴してきた感想」という記事を書いた。そこで「W800BT を買うかも」としていたのだが、実際にオンキヨーの左右独立型イヤホン「ONKYO W800BT」を購入したので使用感を紹介。
使い込んでのレビューというわけではないが、ひとまず2週間ほど使用してみたのでレビューしておきたい。
【評価】
左右で Bluetooth が途切れることも多く、特に新宿や渋谷などの人ごみの中では、断線しかかったイヤホンのように途切れることもしばしば。とはいえ音質は左右独立型イヤホンの中ではトップクラス。高音の伸びも良く、低音もある程度は出る印象。
■良い点
- 左右独立型イヤホンではトップクラスに音質が良い
- その割に1万円台と安い
- インナーイヤー型なのでコンプライなどのイヤーピースが使える
■残念な点
- レイテンシーが大きい
- 左右の Bluetooth 接続が途切れやすい
- ケースが大きい
国内メーカー初の左右独立型イヤホン「ONKYO W800BT」
W800 BT はオンキヨーが2016年10月に発売した左右独立型イヤホン。実売価格は記事執筆時点で 1万8,000円〜2万円程度。国内メーカーとしては初の左右独立型イヤホンの発売ということで、家電量販店では売り切れが続出しており、その人気具合が伺える。
左右独立型イヤホンでは、防水や防滴を謳い心拍計などを搭載するモデルも存在し、スポーツジムなどで使うことを想定して作っているモノが多い印象。しかし、W800 BT は完全に日常生活での用途を考え、音質のみに機能を絞っている。そのため左右独立型イヤホンながら「Φ8.6mmダイナミック・ドライバー」を搭載しており、クリアで伸びのある音楽が完全ワイヤレスで楽しめる。
外箱はこんな感じ。結構シンプルな印象。
W800BT の収納ケース兼充電器。W800BT は1回の充電で約3時間の連続再生が可能。充電はこのプラスチック製のケースで行う(充電ケースは1回の充電で W800BT 5回分充電できる)。基本的に終日外出の時には収納ケースごと持ち歩くのだが、他の左右独立型イヤホンのケースと比較すると少々大きい。
またプラスチック製なので細かい傷がつきやすいため、傷に対して神経質な人にとってはちょっと残念に思うポイントだろう。本体には充電用の USB ケーブルが備わっているため、別途充電器を持ち歩かなくても良いのは嬉しい。
iPhone 7 Plus と比較した大きさはこんな感じ。イメージ的にはちょっと大きめのヘアワックスを持ち歩いているような感じ。本当にプラスチック製のケースなので、外圧によるひび割れが心配。
W800BT 本体。黒とシルバーに赤の差し色と、どちらかと言えばテックな感じのデザイン。色はブラックの1色展開なので、男性に向けたデザインという印象を受ける。ちなみシルバーのヘアライン加工を施している箇所はメッキなので、長く使っていると塗装剥がれが起こる。
『Klipschのハイエンドイヤホン「X12i」レビュー。艶やかな音で女性ボーカルが心地よい』でレビューしたクリプシュの X12i とサイズ比較。バッテリーや Bluetooth レシーバーを搭載しているため、ハウジング部分を比較するとやや大きい印象。
イヤーピースは交換が可能。とは言え楕円形で少々大きいので、この形状に合うイヤーピースでなければいけない。クリプシュの X12i で使っているイヤーピースは使用できなかった。
調べてみるとコンプライの 200シリーズが合うとのこと。まだ僕自身で試したわけではないので確証は得られないが、音質が劇的に変わるとのことなので試してみようと思う。
ONKYO W800 BT を実際に使ってみて。装着感や音質など
W800 BT の重さは片耳で 7g。個人的に重さは全く気にならないが、女性だとちょっと重いと感じる人もいると家電量販店の店員さんが言っていた。アップルの AirPods とは異なりインナーイヤーヘッドホンなので、それなりの密閉性と装着感があるのが嬉しい。
実際に装着してみた感想としては、スタビライザー(耳にフィットさせるためのゴム質の出っ張った部分)でしっかりとフィットするようになっているため、思っていたよりも装着感は良い。首を激しく振っても落ちはしない。
外出先など、普段はこのようにシャツのポケットに W800BT を直接収納している。収納ケースは大きいので、ちょっとした移動だったりのときにはポケットに収納するのがラク。防水ではないので間違えて洗濯しないようにしたい。
気になる W800BT の音質は?
「完全ワイヤレスな『左右独立型イヤホン』がすごく気になる。いくつか試聴してきた感想」でも書いたのだが、ハウジングが大きいということもあり、音質は左右独立型イヤホンの中でトップクラス。
オンキヨーの公式ページでは「6Hz~22kHzの再生周波数帯域を持つΦ8.6mmダイナミック・ドライバー」としているので、やはり音質にこだわっている印象。実際、それなりに低音も出るし、高音の伸びも綺麗。どちらかと言えばドンシャリ寄りで、個人的にはリミックス系の音楽やペンタトニックスなどの音を聴くのに向いていると思う。
やはり有線の1万円以上のイヤホンの方が音に厚みはあるが、2万円以下の左右独立型イヤホンでこの音質は素晴らしい。
レイテンシーは大きいので音楽を聴くのに使いたい
気になるのはレイテンシー。「満員電車でも自分だけの世界に。ノイズキャンセリング Bluetooth ヘッドホン『Parrot Zik 3』半年レビュー」で紹介している Parrot の Zik3 と比較しても、レイテンシーがかなり大きい印象なので、音楽ゲームや動画制作の際の音合わせはもちろん、動画でもちょっと厳しいかもしれない。
Spotify や アマゾンの Prime music などの音楽サブスクリプションサービスと iPhone 7 / 7 Plus を組み合わせた使い方がベストだと思う。
通話の音質
通話時には右側の耳からのみ音が聴こえる。音質は満足できる程度だが、マイクが遠いので、通話している相手に「音が小さくて聞き取れない」と言われることも多い。おまけ程度の機能として考えておくのが良いかもしれない。
思っていたよりも頻繁に Bluetooth 接続が途切れる
やはりケーブルレスというのはかなり心地よく、カフェなどで作業をしたり、電車の中で音楽を楽しむ際にはかなり重宝している。とは言え、左右の Bluetooth の接続が途切れることが思ったよりも多かった。W800BT は右側でスマートフォンや DAP と接続し、右側から左側のハウジング部分に Bluetooth を飛ばしている。なので 左側がプツプツと途切れるなんてことが多い。
例えば新宿や渋谷の駅など人が多い場所では断線しかかったイヤホンのように接続が途切れる印象。他にも家電量販店や秋葉原など、Bluetooth の電波が多く飛び交っていると考えられる場所でも通信は弱い。自宅やカフェなどでは割りと快適に使えるのだが、やはり人が多い場所での使用はちょっとストレスが溜まる。
この辺は店頭で試聴するだけでは分からないので、持っている人に借りて使うか、ダメだったら中古で売りに出すくらいの心持ちで購入するのが良いかもしれない。
まとめ
こんな感じでオンキヨーの「ONKYO W800BT」をレビューしてみた。W800BT もそうだが、最近オンキヨーは DAP としても使えるスマートフォン「GRANBEAT DP-CMX1」などを発売したり、新しい分野に前向きに挑戦している印象を受ける。
W800BT はレイテンシーや左右の接続が途切れたりと、まだまだ課題はあるが、とても音質が良く、左右独立型イヤホンの可能性を切り開いてくれている。これは後継機にも期待できそうだと感じた。
価格が2万円以下と買いやすい価格帯なので「まず買ってからどうするか考える」をやっても良さそうだ。
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