晴れた日にはカメラを持ち出してシャッターを切るのが楽しいのだけど、シグマのレンズは曇天にこそ持ち出したくなる。どこか湿度までも切り取るかのようなしっとりとした描写、高いコントラストと引き締まるような黒が好きだ。
最近になって『65mm F2 DG DN Contemporary』を Leica SL2-S のスチル用に購入した。65mmと珍しい焦点距離に、金属削り出しの工芸品のような佇まいが特徴の単焦点レンズ。簡単にではあるが作例を紹介していきたい。
65mm F2 DG DN Contemporary
このレンズはシグマが2020年12月に発売したレンズ。65mm と標準域よりもやや望遠寄りの珍しい焦点距離で、F2.0 と明るすぎない設計でコンパクトかつ 405g と軽量に収まっている。実勢価格は8万円ほど。
オールマイティーに使える Contemporary ラインのなかの、Iシリーズという比較的新しいレンズ群だそうだ(SIGMA fp に合うサイズ感)。FEマウント用とLマウント用がラインナップしている。
『Leica SL2-Sを買いました。買った理由と作例を紹介』でも紹介したとおり最近になって Leica SL2-S を購入した。Lマウントのレンズは大きいものが多く、なかなか気軽に持ち出して使おうと思えない。シグマのIシリーズは軽量かつコンパクトなので、ボディだけで1kg近い Leica SL2-S に合わせるのには最適だと感じた。
意外に馴染む65mmの画角
まずファインダーを覗いて驚いたのは、あまり使ったことのない焦点距離なのに驚くほどしっくりくる画角で撮れるということ。近い焦点距離だと僕はこれまで50mmや75mmを使ってきたが、65mm はそのどちらのニュアンスも感じる。
そのためさっと取り出してスナップするというよりも、ファインダーを覗いてじっくり撮るのが楽しいレンズだ。
気圧が低くずっしりとのしかかるような曇天。この日は雨が降ったすぐあとで湿度を感じる。シグマのレンズはシャープで全体的な彩度も低い印象があるので、こうした描写が得意だと思う。
無機質でアーバンな雰囲気と合う描写
無機質な硬さと、しんと張り詰める空気を感じる建造物内での写真。標準〜中望遠域のレンズで周辺の歪曲もほとんどないので、まっすぐな建物をまっすぐに切り取れる。
都会の色を艶やかに写す
ネオンや赤い色のあるモノを撮ってみた。やや露出を落として都会の色を切り取ると、こんなにも艶やかな仕上がりになった。普段ならこのうえから色を足しているのだけど、コントラストや色の雰囲気含め撮って出しで掲載している。
晴れた日にも持ち出す
一応晴れたときの写真も掲載しておこう。この写真は撮って出しではなく僕の好きな色を足しているのだけど、こうした抜けるような青空を切り取るのも楽しい。一見ミニマルな仕上がりだが、マンションの壁やオレンジに立体的な質感がある。
まとめ
決して万人受けするレンズではないけれど「若干の圧縮効果も楽しみつつも、標準域スタイルで撮りたい」という人にとっては楽しい。F値を絞ってシャッタースピードを落としつつ、じっくり被写体に向き合いたい。
コンパクトながら色のノリも良く、見たまま以上に質感を表現してくれるので都会のスナップにおすすめだ。
↓ソニーEマウント用もラインナップ